「とら豆もパンダ豆も白花豆も、栗豆も、大袖大豆も、全部、在来種ですね。」
「うん、そうかな。」
「じゃあ、ぜんぶ自家採種で、種をとって、代々受け継いでるんですか?」
「あ、そうそう。時々、友達同士でバックレコしてね。」
「”バックレコ”…。たぶん、交換しあってる、ってことですね、方言???」
「え、あ、わかんないけど、ばあちゃんたちは、そういってるね、ばっくれこ。」
在来種とは、品種改良されていない、昔からあった品種。
最新の品種に比べて、作りづらかったり、脱穀しづらい特徴があるけれど、総じて風味が良い。
なぜって、じゃなきゃ、作り続けてこられないから…。
手間がかかるのに、まずかったら、農家さんも作り続けない。
その土地土地のよって自己変革していくから、病気に強かったり、土地の特徴が出る。
が、今年の話を聞く限り、近年の急激な温暖化には、まだついていけていないようだ。
気になっていることがあったので、聞いてみた。
「ひとつ気になることがあるんで伺っても良いですか?」
「はい、どうぞ。」
「あの崖みたいなのは何ですか?」
「ああ、あれね、十勝ガンケ。みんな気になって聞いていくわ。」
崖に見えたが、十勝川によって削られたもので、清水町から遠く何キロも続いているそう。
「そういえば、音がしますね、川のせせらぎだったのか。」
「パワースポットなのよ。だから私は毎日、パワースポットから力をもらってるの!」
両手を広げて、そう示されて、「ああ、そうだなあ。」と素直に思った。
「じゃあ、こんなところかな。斜里町まで行くなら、3時間以上かかるし、峠もあるから日があるうちに出発した方が良いわよ。」
「そうですよね、ラジオでも言ってました、どこそこ峠が凍結してるって。」
「あ、じゃあ、なおさら。日が沈むのも早いから。」
「いやいや、貴重な時間をいただきまして、本当にありがとうございます。」
そういって、畑ももっと見たかったけれど(もう、何もなっていないのだけれど)、お暇することにした。
元気もいっぱいいただいたし!
いざ、斜里へ!