「え~また行くの?ていうかその日、”送り”お願いしたかったんだけど。もっと早く言ってよね。ていうかいつ決めたの?」
「さっき。でもずっと行きたかった。二日目の”お迎え”には行けるから。ごめん。」
”送り”とは、保育園に、下の二人の息子を送っていくこと。
”お迎え”は、逆に下の二人の息子を迎えに行くこと。
私も妻もシフト制なので、早番だったり遅番だったりで、なんとか順番にできるように努力している。
”その日”は、妻から、送っていくことを期待されていたのだ。
「こないだ行ったばかりじゃない?」
「一昨日ね。」
「また行くの?」
「北海道は、関東地方よりも大きくて、一度にそっちの方面まで行くルートが組めなかった。」
妻に北海道行を告白したら、やっぱり怒られた。
当たり前だとは分かっているけれど、なかなか私は前もって決めきれない。
一昨日の日曜日に、新千歳空港から入って、奈井江、新十津川と北上したルートではなく、十勝から斜里町、つまり北海道南部の真ん中あたりから入って、北海道東部、知床の手前まで行きたかった。
私は、豆の開発に凝っていて、情報を集めている。
知れば知るほど、生産者と畑を見に行きたくて仕方なくなる。
ひよこ豆が欲しくて、でも手に入らないから、豆普及協会に電話して、日本の豆で一番ひよこ豆に似ているとしたら何ですか?と聞いたところ、「大豆か栗豆。」と答えが返ってきた。
栗豆を探したら、一人の方に当たり、娘が嫁に行った先でもいろいろ作っているから、とご紹介を受けた。
レッドキドニービーンズのように、色落ちしないきれいな赤い豆がないかと探してたら、きたロッソという品種を知り、作っている人にも連絡が付いた。
11月中旬を過ぎても、北海道に雪はまだ降っていない。
「これは私に北海道に行け、と言っているに違いない。」
何日か前に思った言葉を、再度繰り返した。
翌々日。
私はとかち帯広空港に降り立った。