北海道の中央部、中富良野町に、北川さんという農家さんがいる。
和也さんで、たしか、4代目。
初代で入植した時には、別の場所で、2代目の時に中富良野に引っ越した。
北海道は、沼地や湿原が多く、水害が多く、農業に向かなかったからだ。
北川さんはまだまだお父様が健在で、私が初めて訪ねた時も、お父様が対応してくださった。
中富良野の土地を生かして、じゃがいもや玉ねぎを多く作付けしており、差別化商品として、チコリーも育てている。
チコリーも半分は、根菜なので、根菜類を得意としていると言って良い。
種苗会社ともタッグを組んでおり、多くの品種改良にも協力している。
りょくけんとのつながりも、最初はかぼちゃの育苗とか品種の相談だったと元上司の永田から聞いている。
じゃがいもや玉ねぎを見直している時に「玉ねぎであれば、”玉灯り”が良いよ。色といい、糖度といい、あれを上回る品種はない。」
そう永田に諭されて、北川さんとコンタクトを取った。
めちゃくちゃ忙しい方で、朝からトラクターに乗って、日が沈んでからは選果に従事する。
そうでもしないと、全部の面積を少ない人数では回しきれない。
そんな北川さんに「除草剤不使用の玉灯りを作ってほしい」と願い出たのは、もうかれこれ10年も前になる。
「それは、差別化にはピンとくる基準だね。農家としては。」
そういう言われ方をした。
広い面積を少ない人数で回すには、薬剤は欠かせない。
北海道の農業では、草を退治する作業は人の手では追い付かず、ほぼすべての農家さんで除草剤は使っているだろう。
それでも、特定の草だけを枯らす様は異様だし、植物の根には何らかの影響が出るだろうし、それが食味に影響するのも理解できる、と和也さんは言った。
玉灯り(たまあかり)は、北川さんのお父様が尽力して育種した品種で、思い入れの強い品種だった。
「色が良くて、固くて日持ちして、糖度が高くて。唯一の弱点はー」