りょくけん東京

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さくらんぼ

さくらんぼの悲哀。

さくらんぼ栽培は骨が折れる。

まず、果実が小さい。

受粉させないと、果実がならない。
農家では、確実に受粉させるために、手作業で、花粉を一つ一つの雌花にブラシでつけていく。
ある程度、実がついたところで、摘果といって間引きを行い、よい実だけを残す。

6月下旬~7月中旬に集中的に収穫になる。
暑くなってきた頃なので、日が昇る前の涼しい時間帯に収穫しなくてはいけない。
果実が温まり、傷みやすくなるためだ。

雨にも弱く、充実してきたさくらんぼの実は、雨が降ると爆(は)ぜてしまう。
だから、こだわった農家であればあるほど、ビニールの屋根を取り付けて、果実が雨に当たらないようにする。
さくらんぼの木の上を覆うので、いかに矮化栽培※をしたとしても、4mほどの高さの骨組みが必要になってくる。

そんなこんなで、さくらんぼは、くだもの栽培の中でも特に労働集約的。

多くの農家さんで、研修生として、外国の方を受け入れ、技術指導しながら、貴重な労働力として働いてもらうのが実情である。

が、昨今の事情で、外国の方が日本に来るのはとてもむつかしい。

労働力を確保できず、さくらんぼ栽培をやめる方が続出している…。

青森の田沢さんもその一人。
りんごや西洋梨の栽培は継続するが、コロナ禍で、密集した作業をきらい、また作業を手伝ってくれる方々の高齢化も進んでおり、リスクが高いと判断し、いよいよ栽培を断念。
樹も切ってしまった。

これは残念でしかたない。

さくらんぼは、出来不出来のブレ幅も大きいし、品質の上下が大きいからだ。
田沢さんは、一定の幅の中に収めてくれる稀有な農家さんだった。

残念無念。