広島の道法さんからレモンが届いた。
道法さんは広島と愛媛の間にある瀬戸内海、豊島(とよしま)出身。
菅原道真の子孫が、流刑先の太宰府から京都に戻ろうと立ち寄った、この島に土着し定住した一派だそうな。
でも、本人は飾らず言う。
「東南アジアとか東アジアを行き来していた、水軍、つまり海賊の一派じゃ。この顔見てみい。そういう感じじゃろ。」
広島で長らく働いた後、浜松のりょくけんでは同僚だった。
早くに独立して、無肥料、無農薬で、植物ホルモンの動きをコントロールして野菜くだものを育てる農法に辿り着いている。
フェリーや船を二つ乗り継いで、故郷豊島に行き、レモンとアボカド、夏みかんの面倒を見ている。
レモンの旬は、みかんと同じ冬。
日本の多くの地域で緑のレモンのまま年内に収穫を終え、貯蔵して販売する。
3月くらいには、ほぼ完売する。
その後は、輸入物ががぜん多くなる。
ビニールハウスで育てることもできるが、それでも6~8月の真夏は難しい。
一番寒い時期に、灯油を炊いて加温しなくてはいけないのと、真夏をハウスの中でやり過ごすのが暑すぎて難しいからだ。
豊島は、山がちな瀬戸内海の島々には珍しく平坦な島のため、風通しがよく、気温の上下が少ない。
そのため、冬も木の上で越冬できるし、夏もやり過ごせるのだ。
「なぜこんなに大きいの?」と聞かれる。
その答えは2年ものだから。
昨年の今頃には収穫できたものをそのまま木に置いているので、そのまま成長していく。
5月頃には、花と果実が同時になっている、不思議な風景も見ることができる。
(普通は、収穫済みなので、花と同時には、ない)
夏に近づくと、回青と言って、やや青くなる。
新しいグリーンの実と一緒に、二年もののレモンもなる、これまた不思議な風景に出会う。
肝心の品質は、というと、やっぱり優れている。
皮に苦みがなく、輪切りにしてそのまま食べられる。
酸味もあるが、甘みもほのかに感じることができる。
理屈はいまひとつ分からないが、果汁も多い。
販売して気づいたことだが、普通のレモンであれば、売り場に置いておくと、だんだんと萎れて軽く、小さくなるけれど、この道法さんのレモンは、軽くも、小さくもならない。
二次生長もして、ごつごつの皮のものもあって、びっくりするが(値段もびっくりだが)、揺るがないお客様からの支持を得ているレモンだ。
■道法さんのレモン 広島県産 約300g
https://www.shop-ryokuken.com/SHOP/40386.html