前職のユニクロが経営していたSKIPで印象に残った正月野菜と言えば、海老芋だった。
大きな里芋、くらいにしか思っていなかったけれど、あれを食べたときの感動ったら、なかった。
甘みはあるし、ぎゅっと詰まっているし、粉質感とか、キメの細かさには驚いたものだ。
SKIP解散後に、りょくけんに移ってきて一番最初に開発した商品はルーコラだったけれど、再度、お声をかけたかったのが海老芋だった。
りょくけんのあった浜松の隣。
磐田市は、海老芋の名産地で、天竜川沿いの砂地が、海老芋栽培には適していた。
品種的には、唐の芋(とうのいも)が正しいようで、京都で海老芋の文化が生まれた。
すなわち、生長に合わせて土を盛り、細長く育てる方法だ。
この方法を「土寄せ」と言う。
土寄せをした境目が海老の背中の模様のように見えることから、「海老芋」と呼ばれるようになった。
里芋は、親芋からたくさんの子芋が付き、孫芋まで付くことがあるから、総じて、子孫繁栄の象徴とされ、縁起が良いものされるようである。
そのため、京都を中心に、おせち料理に頻繁に使われる。
私が「ふくふく正月野菜セット」を始めたのも、この海老芋があったからこそ。
それだけ、当時、その美味しさには驚嘆した。
生産者の大塚さんに連絡をとって、写真なども撮りつつ、お取引をお願いしたところ。
「おたくにはもう出せない。」と断言された。
海老芋の組合があり、その組合長も務めていることから、自分だけが単独行動はできない、とのことだった。
農家は横のつながりが強い。
上司と相談すると「市場に出るから、それを名前を指定して買いなさい。」と教えてもらい、今に至る。
知り合いの仲買の社長さんにお願いし、いつも大塚さん指名で購入している。
もう十年以上になるけれど、お元気かな。
■海老芋 静岡県産 1本(300g前後) 756円(税込)