朝番に入る時は、決まって希望を出しているときで、なぜ朝番を希望するかと言えば、子どもたちのお迎え当番だからである。
帰宅途中には、今日はああだったなあ、どのくらいの売上行くかなあ、なんて考えながらも、電車に乗れば、その後をどのように組み立てていくかで頭がいっぱいになる。
まずは、保育園に3男、4男を迎えに行き、学童に次男を迎えに行き、四年生となり学童を卒業した長男の待つ自宅へと帰る。
ここからも時間との戦いだ。
何を作ろうか迷う時もあるが、大概はもう決めていて、ああしてこうして、と作戦を立てている。
今回はハンバーグだった。
何を食べたいか前の休みに三男に聞いたところ、即「ハンバーグ」だったからだ。
「じゃ、手伝ってね。」
玉ねぎの玉灯りをみじん切りにし、フライパンで先に焼く。
濃いので、けっこう目に来る。
あいびき肉に、塩を入れてもらうと、その塩用のスプーンで、肉の上の塩を広げ始めた。
「あ、だめだめ。生肉はあんまりきれいじゃないから、そのスプーンを使っちゃだめなんよ。広げなくてよいよ。」
自分が当たり前だと思っていることは、三男にとっては当たり前ではない。
物覚えも良いから、今のうちに教えておこう。
塩を入れたひき肉を麺棒でこねる。
手でこねるのも良いのだが、手の熱を肉に与えてはいけない。
氷を引いたボウルの上に金属のボウルを乗せ、そこでひき肉をこねていく。
「ぼくもやりたい」というので、三男と次男にしばらくこねてもらう。
その間、ふと見るとパンが余っていたので、三男を呼び、手で細かくしてもらい、牛乳を注いだ。
「え~これ、なににするの?」
「お肉に加えるんだよ。」
「いつもやってるの?」
「う~ん、あんまりやってない。」
説明が難しい。
いつも肉と玉ねぎだけで作るのだが、ややかたく仕上がる。
パンを入れることで少しやわらかくなるのではないかと思いついたのだ。
おそらく乳化剤も入っているので、うまく結着もするだろう。
次男がこねている肉に加えると「え~なにこれ?」と驚いていた。
麺棒でさらにこねていくと、うまく混ざり、次男も納得していた。
そして、メインイベントかも知れない、成型。
「両手を使って丸くして、平らなお皿に置いたら、こうやって平たくする!」
手本を見せると、三男も次男も上手にやってみせた。
お母さんと一緒を見ていた四男も、楽しそうに見えたのか、「ぼくもやる!」と言ったが、「一番のお手伝いは、テレビ見てることだよ~」とひどいことを言ってしまった。
とりあえず、他のハンバーグやハンバーグダネをひっくり返して悲劇を演出するような気がして、四男には遠慮してもらった。
しばらく冷蔵庫で冷やした後、少しだけ油を引いたフライパンを熱し、焼き始めた。
三男は火とフライパンを怖がったが、次男は果敢に、焼くのにも挑戦。
台の上にのって、フライ返しを片手にじっとずっと見つめている。
「半分くらい茶色になったら、ひっくり返して。もう少し短く持って。」
小学校1年生の次男には少しだけ長いフライ返しを短く持たせた。
少しやりやすくなったようで、小さなハンバーグは手本を見せると、すぐにひっくり返すことができた。
その間、「僕も手伝う」と長男も参加し、「じゃあ」とマヨネーズ業務用5kgの袋を取り出し、ペットボトルに移す別の作業を手伝ってもらった。
大きな声では言えないが、賞味期限間近になり、社内で安く販売していたものだ。
5kgのマヨネーズは重い。
ペットボトルの小さな口にはうまく入らないときもあり、かなりロスも出したが、2L のペットボトル2本とタッパー2つに何とか入れることができた。
こぼれたマヨネーズを「あ、無駄にしてはいけない、僕が!」と長男はなめまくっていた。
私もペロリ。
少し酸味が抜けて、うまみを増していて、実にうまい。
確かにうまい。
隣の焼き場では「あ、失敗した!」
「あ~あ」
「しかたない、せきにんとって、これはぼくのにしよう。」
そんな次男と三男のやり取りも気になったが、マヨネーズの移動はなかなかの重労働だったので、フォローができなかった。
しかし「せきにんとって、」なんてどこで覚えてきたのだろう…?
出来上がったハンバーグはめちゃくちゃ美味しかった。
次男も三男も満足気。
私も満足。
イオンのひき肉は、牛の油脂が加えられているので、油=肉汁が焼いている間に外に出て、かなり小さくなる傾向がある。
今回はあまり小さくならなかったのだが、つなぎに入れたパンのせいだろうか?
教えたりフォローするのは大変だけれど、手伝ってもらうってなかなか贅沢。