永田のお師匠さんから「蜜入りの紅玉があると面白いんだがな。」と昔言われたことがある。
師匠は、社会人になって初めて産地開発したのが、りんごだそうで、それくらい、りんごがお好きで、思い入れも強いし、造詣も深かった。
「長野の立科(たてしな)くらい標高のあるところで、肥料を抑えて、小玉に作って、長く木に置けば、できるはずなんだが。」
くどくど、ブツブツと言われたことをよく覚えている。
機会があるたびに既存の契約農家さんや新規の農家さんに打診したのだが、紅玉を作っている人も少なく、木にならせておけば蜜が入ることもご存じだったが、「ゴム果になって全く日持ちしないし、食感も悪くなりますよ~」と言って断れた。
当時から10年余。
長野の千曲川沿いの成田さんのりんご畑を訪れたときの事。
10月末にもかかわらず、紅玉が木になっているのを見つけた。
外観もどす黒く、秋映(あきばえ)と見間違えるほど。
でも、秋映よりずっと小さいので、思い切って、生産者の成田さんに聞いてみると
蜜入り紅玉。 |
秋映。 |
「はい、蜜入りの紅玉ですよ。」とあっさり答えてくださった。
「え~!憧れのりんごですよ!できるんですね!」
「はい、場所と収穫時期をちゃんと管理すれば、できるんです。」
「日持ちは???」
「ちょっと悪いくらいで、そんなに悪くないです。果肉もしっかりしてますよ。」
食べてみると、その話の通り。
しゃっきりした歯ごたえで、酸味もあるけれど、そんなにすっぱくない。
「蜜入り紅玉は、りんごとして一番ウマイですよ。」
「これ、今日、銀座のお店に送れますか!?」
「あ、はい、良いですよ。」
と、始まりは突然だったのもよく覚えている。
昨年2019年は、悲しいかな、台風19号の影響で、千曲川が氾濫し、成田さんのりんご畑も家も浸水。
成田さんは、地域の消防隊として、避難を誘導する側で、りんご畑は二の次だったとか。
今年は、いつになく順調で、生育もとても良い感じ。
蜜入り紅玉。
期間限定、ぜひその貴重なお味をぜひお試しあれ。
■紅玉(蜜入り) 長野県産 約1kg(4玉前後) 1296円(税込)~