小倉さんがいたずらっぽく笑ってこちらを見る。
「まめ柿って興味ある?」
親指と人差し指で丸い輪っかをつくって、「これくらいのサイズの柿で、種なし。渋は抜かなくちゃいけないんだけど。試験場でできていたのをちょっと分けてもらってさ。」
「な~に、それ?試験場行って、もらってきたの?」と関谷さん。
「そう、ちょっとね。おもしろいねって、枝をちょっとさ。」
キョトンとした。
「この、鉢植えで育てると、柿は8年かかるところを2年から3年で育てられるの。だからもし、このまめ柿がモノになれば、たとえ人気が出ても、5年間は無双なの。他の方たちが実をならせるまでに5年はかかるから。」
なるほど、独占状態が作れるかもしれないのだ。
「来年にはなるから、できたら送ってみるから、まずは食べてみてよ。」
「あら、まずいなあ、小倉さんの柿だけじゃなくて、僕のも扱ってよ。」と関谷さんがおどけたように言ってくださった。
あれから、もう12年。
2014年には、まめ柿は商標登録がされ、研究していた近大チームが「ベビーパーシモン」と名付けた。
小倉さんとお会いした翌年、まめ柿はすでに実をつけ、りょくけんは先行してずっと販売している。
1年目で気づいたのだけれど、皮ごと食べれてしまう。
味はとてもよく、固いときにはサクサクとして、やわらかくなると、ジューシーできわめて甘くなる。
10円玉から500円玉くらいの大きさ。 |
細長い箱に入れると、手土産にはぴったりで、味と質ともに高い評価を得ていて、固定のお客様もついている。