西美濃で、ようやく出会えた陽豊柿の生産者さん。
突然のアタックだったけれど、思い切って訪ねた。
「お取引お願いできないですか!?」
「…。」
しばらくの沈黙の後、「無理だなあ。」と重い言葉をもらった。
「JAに全量納めていて、よそには出荷できないことになってるんだ。申し訳ないんだけど。」
食い下がることもできたかもしれないが、すぐに切り替えて、もう一つの産地を訪ねることにした。
本巣市軽海(もとすし かるみ)。
大きな鉢植えで栽培しているという柿には大いに興味があった。
水分をコントロールでき、間違いなく甘い柿ができる。
カーナビにセットして本巣に向かうと、今度は山奥ではなかった。
田園風景と柿の畑は確かにあるけれど、住宅も多いし、西美濃の山よりもずっと都会で、何しろ、平らだ。
りょくけんのくだものの産地の中では稀有な平野部。 |
りょくけんのくだものの産地と言えば、山だ。
美味しいくだものの産地の三条件は、1.日当たりが良い 2.水はけがよい 3.昼夜の気温差が大きい の三つで、それを満たすのが、南西向きの山の傾斜地。
最たる例かもしれないが、りょくけんのほとんどのくだもの産地が、山。 |
だけれど、本巣は平らな、平地だった。
こんな市街地の畑で、美味しいくだものが育てられるのだろうか?
どこまでも平らな場所は、後で分かったが、そこは濃尾平野だった。
美濃と尾張にまたがる豊かな土壌で、織田信長や斎藤道三が争った場所である。
だが、軽海は広かった。
というか、人家が多すぎて、見当がつかない。
14時を回ったところで、落ち着いて考え、畑を見つけたら、そこにいる方に、片っ端から聞いていくことにした。