「何しろ、人間が寝苦しい時ほど、なすは美味しいから。」
なすは、インド原産で、日本同様の高温多湿の気候。
夏の甲府盆地は熱の”吹き溜まり”だそうで、昼間の熱が盆地の底にこもったようになって、本当に寝苦しいのだそうだ。
この湿度と、高温がなすは大好きで、夜のうちも生長をする。
この日が当たらない時にも生長するので、皮がひゅっと伸びてやわらかいなすになるのだ。
ヘタとなすの間。
ここが白く残っていたら、美味しい時。
日が当たらない夜の間に生長した部分だからだ。
そのままにしておくと、昼間にだんだんなすのきれいな紫色がついていくが、早朝に、陽が出る前に収穫作業を行うので、その白い部分は白いままで箱詰めされて、銀座の店や会社に届く。
いわば、この白い部分は、農家さんの早起きと美味しさの印なのだ。