国産のブラッドオレンジジュース。
私が作りたかったジュース、と言って良いだろう。
イタリア展などでよく見かけた、真っ赤なオレンジジュース。
なんで冷凍なんだろう?とよく思ったものだ。
2017年に小規模事業者持続化補助金などを活用しながら、開発にこぎつけた。
国産のブラッドオレンジは、1990年代後半から樹がシチリアから導入され、愛媛で作られるようになっていた。
そのオレンジで、ジュースを作ったら、きっととんでもないものができるだろう。
そう思っていた。
ブラッドオレンジには主に三系統がある。
1.タロッコ …果肉に赤の刺しがはいるタイプ。最も食味が良い。
2.モロ …濃い赤が果肉全体に広がるタイプ。やや色素の味が強い。
3.サンギネッロ …三つの中で最も濃い赤が果肉全体に入るタイプ。食味が最も劣るとされる。
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タロッコ。 |
食味重視だから、とタロッコ単体で作ったところ、色が、オレンジジュースと変わらなかった。
少し濃い橙。
2年目はさらにオレンジ色に近づいてしまった。
これには二つの理由があり、ひとつは、加熱殺菌。
これをしないと、瓶詰のジュースにはできないわけだが、加熱することで色が飛んでしまった。
もうひとつは原料の問題。
かなり赤の差し色が少ない年だったようで、赤みが出なかった。
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モロ |
3年目は一念発起し、モロとタロッコを1対1で混ぜる決断をした。
昨年のことだ。
モロを加えたことで、赤みが美しく、食味にも、いちごに似たような風味が加わり特徴のあるジュースにできた。
モロは生食だとさほど美味しくないが、加熱することで、甘い香りが出るようだ。
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タロッコとモロを合わせて作成したジュース。 |
とてもお気に入りのジュースだったが、だんだんと色味が変化してきたのと、価格設計や原価にも問題があるし、製造ロットがりょくけんにとっては大きいし、とてもリスクが大きいことを思い知らされた。
今年の新物を作るデッドラインは3月末だったが、断念した。
在庫もまだ抱えているし、折からの感染症の影響で、足元の売上が伸びず、新しいものを調達できるほどの資金がなかった…。
2020年は、新たなものを作らず、とにかく今の在庫をきちんと販売し、製造コスト、運搬コストを見直して、新たな価格設定で、お届けしたいと思う。
ジャンプするために、ブラッドオレンジジュースについては、一度、しゃがんでみることにする。