久しぶりに厨房に立った。
と言っても、包丁を持ったわけでもなく、行ったのはじゃがいもの洗浄である。
りょくけんのお惣菜は、一から作っている。
じゃがいもも土がついたまま納品されるので、洗う。
じゃがいもをシンクに入れて、両手でかき混ぜるようにして洗う。
じゃがいもとじゃがいもがぶつかり、こすれあい、泥が落ちていく。
よく満員電車や人が込み合う状態のことを「イモ洗い状態」と言う。
6年くらいまで、よく分かっていなかったけれど、なるほど、この洗っている状態の事を比喩しているわけだ。
間もなくクリスマス。
厨房の仕事量がクリスマスイブに向かって数倍に膨れ上がっていく。
少しでも、負荷を減らそう、とイモ洗いを引き受けた。
マルシェが思った以上に早く終わったので、勝どきの駐車場に車を置いたまま、バスで松屋銀座店に入店。
ほぼ、誰もない厨房で一心不乱、じゃがいもを洗った。
6年前、前の前の厨房長から教わったんだっけ。
土で汚れた水が、3回ほど交換すると、ほぼ濁らなくなる。
念のため5回洗って、かごにあげて、水切りを行い、袋に詰めた。
少しでも役に立っていれば良いのだが。
いや、なってるはず、、、
そう願って、店を出た。