無機質な白い奥の壁面には、スライドで、各デザイナーさんの完成品が流されている。
26か所のブースには、その、完成品に至るまでの構想や原画が展示されている。
私は松屋銀座店で事前にあった”食堂デザイン会議”に参加しているので、そのことが分かっていたが、ほかの招待された方々にはそれがわかるのだろうか?
少し気になったが、ショウケースの中にあるものを読み込むのに必死で、それはどうでもよくなった。
一番最初の展示は、札幌冬季五輪のポスター。
そしてそのもとになった、10数枚の原画だった。
これがこうなって、こういう完成品になったのか。
この永井一正さん(グラフィックデザイナー)のブースだけが撮影禁止で、それ以外は、今思うと、撮影禁止のマークがついているものはなく、デザイナーや建築家を目指す方なら、つくづく必見の展覧会だと思う。
壁面の隣には、松本哲夫さん(家具デザイナー)の原案が展示されていたのだけれど、招待された方なのだろう、和装の奥様を連れた白髪の雰囲気のある方がご覧になっていて、よく見ることができなかった。
どこかの会社の社長さんなのだろう。
代わって、その目の前にあるショウケースに移る。
黒川雅之さん(建築家/プロダクトデザイナー)。
まず目を奪われたのは、”家具で作った家”なるもの。
棚のような、四角を基調にした家具を組み上げて、部屋にしている。
そしてその発展形として、棚の向こう側が外とつながっており、物流業者さんたちが勝手に補充してくれる部屋。
思わず、おっと思った。
時計も格好良い。。。
作品群に付されたコメントも黒川さんの言葉で書かれていて、その人のなりが伝わってくる。
3列目は、松永 真さん(グラフィックデザイナー)。
バンダイやカルビー、ベネッセ、東京三菱銀行など錚々たる企業のロゴマークをデザインした方だ。
「僕のデザインには完成品しかなくて、その過程なんてないんだよ。」
と、この世界の重鎮らしく、展覧会に原画を出すのに抵抗があったとかなかったとか。。。
上部の黒い表紙の日記。市販の日記では書ききれなくて、自分で作ったらしい。2冊で1年分だそうな。 |
ショウケースの中には所せまし、と原画や分厚い日記まで展示されていた。
ひとつひとつの原画や構想群に付された解説も、なんだか格好良い。
5列目の喜多俊之さん(プロダクトデザイナー)の椅子のデザインは格好良すぎて、なんと言ったら良いのか。
スペインのセビージャ万博の日本館の内装を担当し、よくこれで立つなあ、という形状の未来的な椅子のデザインをされた。
ニューヨークの近代美術館やパリのポンピドゥーセンターの永久コレクションに選定されている、と書いてあり、とても納得。
その後ろのケースには、面出 薫さん。
面出さんは照明デザイナー。
私は写真も撮るので、照明だとか光がどれだけ大切かよく知っているつもりだ。
東京駅の照明も担当されたそうで、その立体模型が展示されており、自由に光を調整できるようになっている。
つまみをひねると、東京駅のプラスティックモデルの表情が、これでもか!と変わる。