「ここを登るんですか?」
「はい。振り落とされないようにしっかりつかまっとってください。」
愛媛県、西条に来ている。
北海道の天塩に行くときには、往復で飛行機代が5万円もかかってしまい、かなり反省。
今回は、成田からのJetstarを選択。
片道4999円。
安いと思っていると、Jetstarは復路が高価に設定されていて、どうしようもなかったりするのだけれど、今回は、袋も同額、4999円。
ただし、本数が少なく、私が好むような早朝の便も夜遅い便もなかった。
10時発、12時着。
半日ロスしてしまうのだけれど、息子たちを保育園に送っていかねばならないので、送迎後、成田に向かうのであれば、ちょうど良かった。
家庭内の調整と社内の調整をして、なんとか一泊させてもらうことにした。
愛媛で行きたいところはたくさんある。
尊敬する無茶々園さんのみかん畑も見たいし、伯方島のみかんジュース工場、大三島のみかんジュース工場も見たい。
段々畑で作るという、男爵芋も見たい。
久しぶりに、ご挨拶したい農家さんも何件かいらっしゃる。
悩みに悩んで、4件の訪問を計画した。
松山空港からまず向かったのが、赤いキウイ”レインボーレッドキウイ”を栽培する金光さんだ。
西条市は、四国最高峰の石鎚山(いしづちやま)のふもとにあり、“水の都”と呼ばれている。
いたるところに、川が流れ、少し掘れば地下水も出てくる。
水が豊かな場所なのだ。
意外に住宅密集地で、間を縫うように、柿畑や、びわ、イチジク、ビニールハウスがある。
愛媛と言えば、みかんのイメージが強いが、西条は落葉果樹が多いようだ。
金光さんも例外ではなく、太天という大玉の柿と、ぶどう、不知火、そしてキウイの4作をしている。
ご夫婦で農場経営されており、旦那さんが農園管理を、奥様が販売を担当している。
ちなみに、旦那さんは私と同い年。
農協に勤めていたという旦那さんは慎重で真面目。
奥様は、O型だそうで、「悩んでも仕方ない、前に進もう!」という感じ。
きっとそのバランスが良いのだと思う。
ご自宅のお二人で作ったという事務所でしばらく話していて、それを強く思った。
フルボ酸という、有機酸の一種で、土壌改良に一役買う農業資材を畑に散布しよう、と奥さんが乗り気になっているところ、
旦那さんは「でもな、今時期にまくと、結局、新梢の時にはな、、」と慎重だった。
きっと、良い解をお二人で見つけるだろう。
事務所を離れて、お二人が軸としているぶどう畑を拝見。
ハウスの中は大きな鉢が埋めてあり、なんと、根域制限をしていた。
金光さんのぶどう畑 |
「横だけ入れているんやけどな。」と金光さん。
水の都、逆に言えば、水位が高い。
水はけが今一つであれば、根が伸びるのを制限し、ハウスの中で、水分コントロールするのが上策なのだろう。
そして車で20分ほど走っただろうか、ご自宅からは離れた山に車を進めた。
「ここを上がっていくんですか?」
かろうじて舗装はされているけれど、かなりの道筋。
軽トラで一気に上がっていくと、ガタガタと揺れ、確かにしっかり捕まっていないと、振り落とされる。
側面をネットで覆い、雨除けの屋根がある簡易ビニールハウスにたどり着いた。
ここが、あの赤いキウイの畑!
入口の覆いをくぐって、ハウスに入ると、「見事!」と思った。
住宅街から少し離れた場所にある緩やかな斜面。
高級なさくらんぼのようにきちんと摘果され、1本の枝に互い違いに仕立てられていて、手が良く入っているのが分かった。
レインボーレッドキウイは、重量が50~70gくらいで、主流のヘイワードキウイの6割くらいの大きさだ。
金光さんは、摘果(=間引き)を強くし、枝の剪定で、できるだけ大玉にするようにしている。
平均を大きく上回る100g超のレインボーレッドキウイになっている。
糖度は20度近くになり、ツンツンするような酸味がない。
「素晴らしいですね~」
「―でもな…。」とご夫妻の歯切れが悪い。