翌朝、起きると、抜けるような青空だった。
風は強いけれど、気温もあって心地よい。

”台風一過”の言葉がふさわしい日。
そう思った。

松屋銀座は通常10時オープンのところ、2時間遅らせて12時オープンの予定だった。
台風19号の上陸が遅れ、それに合わせて14時オープンにずれ込んだ。

前日の夜から連絡を取り合い、開店の4時間前に厨房チームは出勤し、2時間前の12時に、売り場のスタッフは出勤しよう、ということになった。

京葉線は動いていなかったけれど、新木場駅まで車で送ってもらい、有楽町線で銀座まで出勤した（ふっと気を許して永田町まで行ってしまったけれど）。

前日はあんなに大騒ぎだったのに、銀座周辺は、もう普通で、百貨店の外では、列ができていた。

14時オープン予定だったが、12時40分くらいに、30分繰り上がって13時半にオープンすることが決まった。

「オイオイ」と突っ込みたかったけれど、致し方ない。
予想外に、お買い物に来るお客様は多く、日本ってすごいな、と思った。

どこぞの政治家の「まあまあのとことでおさまった」と会議でおっしゃったそうだが、自分もそう思った一人だった。

いつも通りに、無事に閉店を迎えた。
いや、本当にそう言ってよいだろう。

ーが。

帰り道に、スマートフォンでニュースを読むと、信じられないような風景が、画面上には映っていた。

千曲川氾濫。
阿武隈川氾濫。
利根川etc.

個人的には平和だったけれど、そうではなかった。
川があり、そこに山があったところは、台風の大量の湿気がぶつかり、大量の雨が降った。
箱根が典型的だろう。
裏を返せば、そこで降ってくれたから、浦安はさほど降らなかった。

ああ。

何か、もう少し別の手立てができなかったのだろうか。