長十郎という梨がある。
10数年前に、SKIPの同僚から借りた「くだものの話」という古典的な文庫に記載があったのを覚えている。
和梨は、古くから人気があり、瑞々しさとシャリシャリあるいはガリガリした食感が愛された。
ただし、日持ちに課題があり、丈夫そうに見えてあまり持たない特徴があった。
1893年に川崎で発見されたという長十郎梨もその一つで、人気がある一方で、日持ちが良くなかった。
その和梨の致命的な欠点を覆す画期的な品種が、幸水と豊水という両品種だった。
いずれの梨も系統的なつながりは薄く、長十郎との血縁もない。
幸水と豊水もさほど日持ちのする梨ではないのだが、長十郎はそれ以上に悪く、あっという間に、長十郎梨は姿を消し、現在はほとんど流通していない。
それだからか、時々、都内に住むお客様からは問い合わせがある。
幸い、全国の農家さんを訪ねさせていただいているので、栽培している農家さんは知っている。
岐阜で、柿でお世話になっている関谷さんが、その人。
ほとんど接ぎ木して幸水と豊水に切り替えてしまっているのだけれど、少しだけ残している。
太い幹を持った長十郎の木。 |
幸い、今年は少しだけ譲っていただけることになった。
形状は、ほとんど幸水と同等。
「なつかしー」と言ってくれるスタッフさんも。
ガリガリ感が強く、歯ごたえがあり、糖度もある。
ただ、私の勘だと、この甘さや風味は抜けやすい。
それゆえ”日持ちがしない”と記述があるのではないか。
また、楽しんでいただければと思う。
■長十郎梨 岐阜県産 約500g(2玉) 756円(税込)
https://www.shop-ryokuken.com/SHOP/40635.html