苗床を受け取り、スタッフさんの娘さんと、しっかりと膝丈までの長くつを持ってきていたIさんが田んぼに入った。
「深い!思うように動けない!」
「頑張って!」
「え?入るの?」
「せっかく来たんだからやってみなよ。」
苗床を受け取る。 |
私も三男とチャレンジ。
三男もすでにズボンを汚していたので、パンツ一丁になって、田んぼに入った。
が、すぐあきらめた。
思うよりも深い。
3歳の三男は、膝どころか、腰までつかってしまう。
大人二人と小学生一人。
機械の入れない、田んぼの隅に、苗を植えることにした。
田んぼは、上から半分くらいはぬるいが、下層部分はひんやりしている。
泥がとても気持ち良い。
苗床は、土の中に稲の根がびっしりと詰まっており、きれいなシートになっている。
そこから一つまみずつ手でちぎって、田んぼの奥にさしていく。
底はまったく見えないが、手で突っ込んでいく。
ぬるぬるしているのだが、意外としっかり着くのが、不思議。
気になるので、どこまで足が行くのか足で掘っていくと、ぬかるみの底は固く、まるでコンクリ。
「気持ち良い~」
と言いながら、地道に手で植えていく。
「へっぴり腰ですみません~」
「とーちゃん頑張って~」と次男が応援してくれる。
「写真撮っといて~」
「もうとったよ~」
20㎝×10㎝くらいの苗床シートを一枚植えるのに、10分くらい。
きっとこれでは仕事にならないのだろうなあ、と思ったけれど、個人的にはとても楽しかった。
「終わったー!」と達成感。
「Iさん終わりそう?Yちゃんも終わりそう?」
「大丈夫です、あと少しです。」
めでたく三人とも完了。
土や手に着いた泥は、山﨑さんが用水路を開いてくださり、田んぼ脇の水で洗った。
でも、なんだか足がきれいに、すべすべになった気がした。
泥は土よりも粒子が細かいと聞く。
泥パックなんていうのもあるので、もしかしたら、肌に良いのかもしれない。
次男と三男は、ザリガニとカエルを追いかけていた。
「Yちゃん、ごめんね、どう、大丈夫? ついでに田んぼの端から端まで走って思い出つくったら?スライディングもよいかもよ。」
小学生のYちゃん。
やや困った顔をして黙っていると、お母様(スタッフさん)から「大森さんやりなよ。」と突っ込みが入った。
遠くから12時を知らせるチャイムが鳴っているのが聞こえてきた。