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「『私の名前のいちごを植えたい!』って言ったのが始まりでね。」

週末、家族で、山梨の石原さんのところにいちご狩りに伺った。
夏はなすでお世話になる石原農場。
本業は、観光イチゴ狩り農園である。

冬の12月ごろから5月いっぱい。
多くのお客様を農園に迎え入れている。

まだ長男一人しかいない時から来ているから、6年目くらいになるだろうか。

3歳の三男までは、もう慣れたもので、自分でいちごを摘み取りながら、ヘタを取り、いちごの頭の方から口にする。
「うまーい!」
「これうま~。」

次男と三男はどこで覚えたのか知らないが、良いリアクションをする。
長男は、全員に配られる練乳入れをどこぞに放置して、両手いっぱいにいちごを持って、そこから思う存分、黙って食べ、時々、「すっごいでっかいの見つけた~ とーちゃんあげる。」と言って手渡してくれる。

9か月の四男は、石原お母様が気を利かして、抱っこしながら別室で面倒を見てくださっていた。

主力の品種は、紅ほっぺと章姫(あきひめ)。
章姫は少し細長く、酸味が極端に少ないので、すぐにそれと分かる。

ふと、気づくと、赤いいちごの中に、少し橙色がかかったような色の薄いいちごがあった。

「これはもしかして。」と思って食べてみると、やはり、と思った。

桃薫(とうくん)だ。
桃の香りも、味もする品種で、完熟してもやや色が薄い。

ちょうど妻が近くにいたので、「これ食べてみ。」と言って渡してみた。

「なにこれ~ 桃の香りと桃の味!」

声を聴いた長男が来たので、また渡してみた。

「なにこれ白いじゃん、まだとっちゃだめだよ、とーちゃん。」
「いいから食べてみ。」
「え~!」と言いながら食べさせると、「あ、本当だ、桃の味だ。」と、その意外性に驚いていた。

石原さんが、葉かきなど手を入れに、ハウス内にいらしたので、「”桃薫”つくってるんですね!」と水を向けた。

「そうそう、桃香がきっかけでね。」

石原さんの長女 桃香ちゃんが、自分の名前のいちごを育てたい!と探して、存在したけれど、手に入らなかったところ、近くのホームセンターで”桃薫”の苗が売っていたので、一昨年から少し植え始めたのがきっかけだったそうな。
今季から本格的な数量を購入し、定植した。
植え方にも妙があり、いちごの一列の畝の、ところどころに植えた。

いちご狩りに来たお客様が、気づいて食べると、桃の味だ!というので、驚く、という寸法。

これが、とても評判が良いそうで、桃香ちゃんの鼻が高いとか。
「誰のおかげか、忘れないでよね。」

そして、特に今年は生育が良いそう。

「なんだか知らないけど、今年はみんな頑張っててね!」と、にこにこしながら、石原お母さんが言う。

石原いちご観光農園8番。
人気の観光農園なので、ひっきりなしにお客様がご来店。
駐車場も広く、トイレも完備。
設備は年々良くなっていて、駐車場スペースは増えたし、水洗トイレもここら辺ではちょっと珍しい。

「盛況ですね。」とお嫁さんに言うと、
「そうですね。」と静かに笑う。
「今日はオンラインの方と、外国の方と、とにかく午前中はひっきりなしでした。」
「オンライン決済もやってるんですか!」
「そう、とにかくキャンセルだけはしないで!といつもドキドキしています。」

インターネット予約を導入して、入園料の決済もそこでできるようにしてますます便利。
http://ishihara-nojyo.com/

りょくけんも通販や店舗では電話注文も承っているから、事前にお金を頂けるシステムは、有難いけれど、けっこうドキドキするものだ。

石原いちご観光農園8番。
いちごをめいっぱい食べて、石原家の皆さんの笑顔も見て、毎年、進化する様も見て、胸がいっぱい。

「僕もがんばりまーす!」と言って農園を後にした。

忙しいのに、車が見えなくなるまで、ずっと手を振ってくださった。