「じゃあ、ピーマン見に行きますか。」と吉田さんに促されて、再びレンタカーに乗り込んだ。
「自分が運転しますよ。」と吉田さんが運転してくださった。
ピーマンの生産者さんは金城さん。
南城市からハウスのある糸満市までは30分以上かかる。
どうも、さっき吉田さんのところに車で来たときの道を戻っている。
ほとんど同じ道をたどって、金城さんのハウスに着いた。
「なんか、ずいぶんきれいなハウスですね。」
「作ったばかりだからね。」
金城さんはいらっしゃらなかったが、中を覗かせてもらった。
ピーマンの現生地は、南米アマゾン。
熱帯雨林だ。
だから冬の間、沖縄で作る。
加温はしないが、ハウスは温度と湿度を維持するのに不可欠になる。
ここが、徳之島や沖永良部島との違いかもしれない。
沖縄にはかなりの額の補助金が入る。
「南城と違って糸満の方が、農政に力があってね。ハウスを建てるのにも、かなりの金額が補助されるんだ。」と吉田さん。
隣接する行政区でも、少し違いがあるようだ。
糸満の方が治水にも力を入れており、ポンプも優秀で、ボタン一つで灌水が行き渡るようになっている。
ハウスも風速60mの台風に耐えられるような構造だそうで、吉田さんいわく、吉田さん自身の長なすやトマトのハウスとは「柱の基盤が違う。」のだそうだ。
沖縄のピーマンは旨い。
現生種に近い中型のピーマンが普通に作られており、青臭さが少なくて、肉厚、ジューシー。
一見すると、パプリカのように見える。
生でもバリバリ食べられる。
一般的な小型のピーマンは、ししとうが掛け合わされており、どうしても、あの青臭さが出てしまう。
私の息子たちが、ピーマンを好んで食べるのは、このピーマンのおかげだと思う。
「この横棒は、おかしいな。」
ハウスの構造を見ながら、吉田さんが言った。
「生長さん、自分で後から付けたのかな。」
金城さんが気に入らなくて、補強なのか、弦を上げるための糸を誘引するためなのか、鉄パイプを横に這わせたようだ。
私が見ても、良くわからない。
しばらく見た後、また同じ道を通って、吉田さんのハウス前の事務所に戻った。
車内では、沖縄まで足を延ばした一番の理由だった、かぼちゃのことを聞いてみた。