クイーンコーラル8。和泊港にて。 |
入港した船は、予想よりもずっと大きかった。
クイーンコーラル8。
全長141m、全幅20m。
なるほど、奄美の島々の生活は、この船によって物資が届けられ、成り立つのだと悟った。
積み荷が多くて、到着時間が遅くなったという。
同様に、積み荷を降ろすのにも時間がかかった。
10時20分くらいに、ようやく乗船の許可が下りた。
「2等客船、沖永良部島で下りる方は、奥の部屋までお進みください。那覇まで行く方は、その手前です~。」
奥の部屋に進むと、客席は全くなく、寝床が200くらいあり、枕と掛布団がずらっと並んでいた。
自分は、徳之島の亀徳から沖永良部の和泊(わどまり)までしか行かないが、鹿児島港から、沖縄まで12時間かけて進むフェリーである。
船内で、一泊する人もいるのだ。
亀徳から那覇に着くのも、明朝である。
私は視野が狭い。
即座に理解するには、少し時間がかかった。
前夜は遅くまで歓迎を受けた。
少し横になることにした。
しかしながら、30分もすると、揺れが気になるようになり、寝ていられなくなった。
ノートPCを開いて、仕事をしようとも思ったが、なおさら気持ちが悪い。
ふらふらしながら、雑魚寝の大部屋を抜けると、上に階段があり、デッキに出られることが分かった。
デッキ上は、雨も止んで、太陽が顔をだし、暑かった。
セーターを着込んでいるのが少々ばからしい。
マフラーまでしている。
ただ、風がとても強く、吹き飛ばされそうになる。
船の端まで行くのは、かなり勇気が必要だった。
見渡すと、後方に島が見えた。
―徳之島だ。
ということは、前方には沖永良部島が見えるのかと思ったが、まだ見えなかった。
三方は、見事に海。
クジラや魚でもいないかと、目を凝らしたが、風でメガネが飛びそうなので、すぐに止めた。
高さ20mくらいあるだろうか。
このまま海に放り出されたら、誰にも気づかれず、誰にも助けてもらえそうにない。
いつの間にか、船酔いは収まった。
小一時間ほど大部屋でおとなしくすることにした。
ふと気づくと、窓から、薄い黄土色の島の端が見え始めた。
―沖永良部島だ。
急いで階段を登り、船上に上がった。
前方の視界は、すでに島でいっぱいだった。
青い海。
ところどころ、海の色がエメラルドグリーンに変わっている。
サンゴ礁があるのだろう。
むき出しの土の色は淡い黄土色。
石灰分を含んだ赤土が垣間見えた。
グオーーー
フェリーが港に向かって旋回し、スピードを落とし始めた。
間もなくして、錨が降ろされ、船が止まった。
港には、どこかのバレーボールチームが優勝したのか、出迎えの方たちが横断幕を広げているのが見えた。
きっと、いろんなドラマがあるんだろうなあ。
和泊空港にて。中央に”優勝おめでとう”の横断幕。 |
船を降りる準備ができたと放送が流れたので、階段を降り、扉が開くのを待った。
バレーボールチームもいた。
扉があくと、凱旋の、はしゃぎたそうな気持ちを、ぐっと抑え、一般客が全員降りた後、一番後方から降り始めていた。
いろいろ気になったけれど、到着時間は1時間弱遅れており、生産者との約束の時間もそれなりに迫っていたので、そそくさと扉を出て、用意された階段を下りた。
沖永良部島だ!