橋本さんによると、竹田市内でも、いくつか水をボトリングして商売をしていた会社があったようである。
ところが、ほとんど商売が成り立たず、倒産してしまった。
橋本さん自身もその会社の一員。
個人事業主となって、今も採水とボトリング、運搬を行っている。
それだけでは、生計が成り立たないので、夜勤で、道路公団の仕事をしているという。
しかも正社員として。
夜間に、安定した収入を求め、昼間は比較的自由に動いて、水の仕事をしている、というわけだ。
水は、その原料となる水の代金はほとんどかからない。
だから、多くの業者さんが目をつけるのだが、一番コストがかかるのが、運搬=配送料なのだ。
重く、かさばるものなので、ほとんどのコストが、そこに尽きる。
だから、関東で販売されている水は、富士山や長野が多い。
そしてペットボトルや、ボトリングのコスト。
水自体が、2Lで100円を切っているので、そのあたりのコストもばかにできない。
「遠くで販売しようと思っても、そのコストが吸収できないんですよね。」
そうして、いくつもの会社が諦めた。
実は、現在、ボトリングを依頼している工場も、水の商売を諦めかけ、橋本さんがもともといた会社に、ボトリングを依頼したのだとか。
今では逆に、橋本さんがその工場にボトリングを依頼している。
決して最新ではない工場だったし、この後、本当にどうなるか分からないと思う。
でも、そういう人間界の事情とは別に、竹田の水は、ずっとこれからも美味しいままだと思う。
竹田を訪れて、いろいろな話を聞いて。
決して良い話ばかりではなかったけれど、変わらず、この水を、紹介していきたいと思う。