蜜入りりんご、という言葉がある。
世界基準でいえば、りんごの蜜を重宝するのは、日本だけ、あるいは、その情報が伝わっているのか、中国圏の方だけだ。
多くの方が勘違いしているが、蜜自体は甘くない。
ただ、蜜は、熟度が高いことを示しており、同品種で比べれば、蜜入りのほうが美味しい可能性が高い。
光合成された糖分は、果実に蓄えられるが、だんだんと持ちこたえられなくなり、いったん、糖ではなく、ソルビトールという成分に変化して、果実の中に留まる。
これが、目に見える”蜜”だ。
ソルビトールと糖を比べると、ソルビトールのほうが甘みが劣るのだが、糖として持てなくなるほど、たくさんの糖が生成されているので、りんごとしてはとても美味しくなる。
ところが、おいておくと蜜は消える。
いったんソルビトールという成分に切り替えていたのが、だんだんと糖に切り替わるからだ。
水分が少し減るが、糖度は、蜜が消える=目に見えなくなることで、上がる。
ふじでいえば、2月ごろから。
“蜜入り”と称していたものから、だんだんと蜜が目に見えなくなる。
美味しさは、増していくので、期待してほしい。