シトシトと雨が降っているような、降っていないような日だった。
会場にようやくたどり着き、車が立ち並ぶ、やや地面がぬかるんだ駐車場に急いで停めた。
青い、大きな出荷場の入口には神主の方がお払いをしている。
完全に遅刻だ。
当日午後にお会いする予定だった方が、急に別の仕事が入ったということで、前泊したホテルのロビーで朝8時30分から急遽お会いすることになり、しばらく話し込んだ後、K氏こと、金子さんの”初出荷式”に向かった。
大分市内は、そこそこ車が混む。
サッカー日本代表が、その渋滞に巻き込まれ、試合開始寸前に会場に着いたのも、記憶に新しい。
レンタカーのナビゲーションの精度も悪く、住所を入れても、ピンポイントにはたどり着けなかった。
幹線道路の反対側に連れてこられ(?)、そこから必死にリカバリーしたが、開始時刻の10時に間に合わなかった。
「ふう…。しまったなあ…。」
そう思いつつ、塩をまき始めた神主さんの横を抜けて、会場に入った。
おそらくは、出荷場兼倉庫になるのだろう、天井も高く、面積も広い大型のテントの中に入ると、想像したよりもずっと多い100名以上の列席者が、整然と並べられたパイプ椅子に座っていた。
カメラマン(左)と神主さん(中央) |
受付を済ませ、案内された席に歩を進めると、元の会社の上司や同僚や、お取引先さんがいらしていて、連続して「おっ」「おっ」「おっ」と思った。
席の前には、祭壇が組まれ、しめ縄も厳かに設置されている。
大きな映像カメラを抱えた方も脇で撮影しており、地元のテレビでも取り上げられるのだろう。
見知った、懐かしい方々に囲まれて、なんだかふわーっとした気持ちになった。
少し前のほうの席で動きがあると感じたら、どうやら大分市長が到着した模様。
大分市長 |
列席者が、榊を順番にあげていった後、市長のご挨拶があり、大分県の農業振興課の代表の方からもお言葉を頂戴し、いよいよ金子さんの挨拶になった。
昨年の夏から、熊本県のベビーレタス生産者の下で修行して、大分に生産法人を立ち上げた。
その名も”(株)大分ほっぺリーフ”。
金子さんらしい、良いネーミングだ。
やさしさも感じるし、ほっぺが落ちそうなくらいの”美味しさ”を連想させる。
※詳しくはこちら↓
https://hoppeleaf.co.jp/index.html
金子さんの出身は、長崎。
スピーチでは、その、長崎に掛けた話があった。
「僕は、長崎の佐世保というところの出身です。
その佐世保の小さなカメラ屋に過ぎなかった会社が、いまや日本を代表する通販会社”ジャパネット タカタ”に成長しました。
大きく成長した後も、本社を長崎に置き続け、地元にものすごく貢献されています。
私は大分出身ではありませんが、大分県や大分市、地権者様に受けたご恩を、この大分に返して行きたいと思っています。
本日は、お忙しい中、お集まりいただいて、誠にありがとうございました。」
嘘偽りの無い、自分自身の言葉だった。
そして、司会者の方が、無事に式典が終わったことを告げ、ハウスへの移動を促された。
「それでは、生産現場であるビニールハウスへ、皆様、ご移動をお願いします。」