銀座の店舗に出勤前。
某有名ハンバーガーチェーンでパソコンをいじっていた。
出勤前の数時間は、私にはとても貴重な時間。
Wifiも使えるし、電源もあり、便利な場所だ。
周囲では、競馬の予想を真剣にしている人もいれば、訪日外国人の方もいるし、明らかにビジネスマンもいる。
少しの緊張感を持ちながら、仕事をする。
月末の入金状況をチェックして、外食さんたちへの請求書を作成していた。
突然、照明も音楽も消えた。
強烈な台風の次の日に地震が来る年だ。
確率的な話で、次は関東だろうか、なんて戦々恐々としている。
いよいよブラックアウトか。
そう思った。
周囲は、一瞬だけザワッとしたが、ビジネスマンたちは、何も無かったかのようにパソコンに向かっている。
広い窓からの明かりが差し込まれているので、照明が落ちても、一定の明るさが店内にはあった。
それでも、パソコンの画面からのブルーライトに照らされたビジネスマンたちの顔が印象的だった。
自分も、その一人であろうとは思うが。
―1分後。
作業中のファイルを保存していたら、明かりが点き、少しバグがあった後、音楽も普通に流れた。
通常の店内に戻った。
何のアナウンスもなく、誰かが説明に来るわけでもない。
そして誰も騒がない。
少々違和感。
それが平和と言うものか。
「おっと、店に行かなくては。」
コーヒーを飲み干し、そそくさとハンバーガーチェーンを出て、店に向かった。