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南へ!3。 ~キーツマンゴー~

生産者である鍵山さんが、”キーツだ”って言っているのに、「これ本当にキーツですか?」は、無い。

でも、本当に、私が知っている真緑のキーツマンゴーとはかなり違っていたのだ。

「日が良くあたると、こういう黄色が出て、頭のほうも赤くなるんです。」

「へえ~。」

知らないことを知るのは、楽しい。

「何度か、販売に挑戦したことがあるんですが、すごく難しくて。」

「そうですね、でもうちでは人気商品です。」

「まず、緑色のマンゴーで、敬遠される。そして熟度を見極めるのが難しいですよね?どうやって判断するんですか?」

「”香り”です。」

「え?」

「常温でおいておくと、3日から7日くらいで香りが立ってきます。それで分かりますよ。」

キーツマンゴーで、香りを感じたことがない…。

「すごく大きくて立派なものが来て、それこそ1kgを超える大玉で、大事に売ろうと思って、冷蔵什器で販売しました。でも、香りなんて感じたことないです。」

「冷蔵じゃダメです。」

「え?」

「冷蔵に一度かけると追熟しなくなります。」

「でも、メロンや、それこそ西洋梨は、一度、冷蔵に当てて、そこから常温に戻すことで、追熟が始まりますよ。」

「それは私も聞いたことがあります。でも、キーツマンゴーはダメです。冷蔵すると、もう追熟しません。」

再度、販売に挑戦したくなった。
何より、食べてみたい。

ハウスは全部で4棟あって、そのうち2棟は、ほぼ”アーウィン”。
他の2棟に、20種類くらいのマンゴーと様々なトロピカルフルーツが植えてある。

小さめの木は ―といっても、ハウスも天井まで4mくらいある立派なスリークォーターのハウスなので、十分に大きいのだが― 大きな鉢に植えられており、中くらいのものは、根域を制限するシートを敷いて、土に植えている。
メインのアーウィンは、ほとんどが土に直植え。

こちらは鉢植え。1mくらいの直径がある。
根が広がらないように(取水制限)シートをしいて鉢から出したマンゴー。

「何人くらいで運営しているんですか?」
気になったので聞いてみた。

「私とさっきいた人が常勤で、基本的には2名でやってます。忙しいときには人を頼むし、妹が手伝いに来てくれたりします。」

「女性だけじゃないですか!この鉢を移動させたり、土植えにするのも大変じゃないですか。」

「はい、大変です…。」

「しかもこんなにたくさんの品種で、、、どうやって覚えたんですか?」

「全部、経験して覚えました。」

「へえ~!」

「基本的には、うちはアーウィンと変わらない管理をしています。あとは、”収穫時期”と”追熟”ですね。このふたつを知ることです。」