脱粒のこと。
ハウス栽培のぶどうがほぼ終了し、露地ぶどうが最盛期を迎えている。
内陸部は雨が少なく、粒は小さいものの、糖度は上がっている。
ただ、ぶどうは、少し悲しい現象もある。
それが、脱粒(だつりゅう)だ。
軸から、ぶどうの粒が外れてしまうこと。
流通のどこかで、落下の揺れや温度変化などが理由で、お客様や店頭に届いたときに、脱粒が起こると、ちょっと悲しい。
袋から取り出した瞬間、軸からぶどうの実が次々と落ちていく様を、私も何度も見てきた。
決して古いわけではないのに、、、
物流業者さんの荷扱いや、気温の変化で起こることもあるが、決定的な理由もある。
最近のぶどうは、”種無し”処理しているからだ。
軸から実をきちんとつなげているのは、種だ。
種が無い場合、脱粒の可能性は、大きく上がる。
それはそうだ、つなげていたものが無くなっているのだから。
巨峰はその影響を受ける最たる品種で、とても粒が外れやすい。
時代が進んで、最近の品種は、皮と軸がくっつくようになっていて、脱粒しにくい。
その際たるは、シャインマスカット。
軸と皮がしっかり付いているので、種無し処理をしても、きわめて脱粒しづらい。
藤稔やピオーネも、種無し処理には向いている品種だけれど、脱粒はきわめて簡単に、発生する。
特に藤稔は、一つ一つの粒が大きいので、その重さで、さらに脱粒しやすい。
脱粒が、悩ましいのは、問題なく食べられるのだが、商品価値が皆無になってしまうことだ。
わざわざ銀座や、通販で購入したぶどうをが、手元に届いたら、ぼろぼろと粒が落ちてしまったら、やっぱり残念だ。
ぜんぜん問題なく、お召し上がりいただけるのではあるが、、、
気になって、手元にあるぶどうを降ってみた。
ものの見事に粒が数秒で落ちた。
落ちた実であっても、美味しさは変わらない。
でも商品価値は、、、
まったく、悩ましい現象である。