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桃の美味しさの秘密を訪ねて2。

朝8時には自宅を出て、少し渋滞はあったものの、11時前には現地に着いた。

代々続く山梨のくだもの農家らしく、広い庭にきれいに整えられた庭木。
選果場と倉庫があり、軽トラックが2台停まっていた。

少し離れて、すらりと背の高い男性がたたずんでいる。

雨宮さんだ。

すらりと背が高く、少し肩の力が抜けた感じがうれしい。

「お世話になります!」と挨拶もそこそこに、歩いて、近くにある桃畑に足を運んだ。

「もう終盤だから、本当はあんまり見せたくないんだけど。。。」と雨宮さん。

ちょうど、先週末に台風が来た。
その影響からか、大玉の桃も落果していて、白いシートもめくれ上がっているところもある。

「ここの畑が、うちの最後の品種で、”さくら”。」

「”さくら”ですか!うわあ、大きいですね。」

葉は薄い緑色で、程よい施肥の加減であることがうかがい知れる。
ややしおれた感じで、水はけが良く、適度に水切れも起きている。

日中で、もっとも気温が上がる頃。

町内の放送で、熱中症の注意喚起が流れている。

それでも、枯れずに、桃を包み込むように、うっそうと葉が茂っている。

良い感じだ。

光合成をして、栄養分を桃に送り込むのは、葉だ。
葉の数が多く、濃い緑でなく、薄い緑であるのは窒素分が少なく、木よりも実に栄養を送っている証拠。

果実は、細かいそばかすのような斑点がついている。
小さい頃から良く日に当たって育ってきた証拠で、美味しい桃を見極めるときの指標になる。

「今年は、旱魃で、小玉傾向と聞いてますが、雨宮さんの桃は大きいですね。」

「そうだね、もっと小さくなるかな、と思っていたけれど、ここにきて、大きいね。」

さくらは、川中島白桃の血統で、大玉傾向だから、品種の影響もあるのかもしれない。

「まあ、でも12玉サイズにすると、出荷しちゃだめだ、っていうから、それ以下には抑えるようにしているよ。」

「なんで、こんな年なのに、大きくなるんですか?」

少し間をおいて、「それはやっぱり、この”大野”っていう地域が桃の栽培に向いているっていうか。。。」

「大野?」