帰り道の大型スーパーで、生鮮コーナーに立ち寄った。
「お?」
いったん素通り。
シールの文言を頭の中で読み返し、やっぱり戻って手に取った。
「パキスタン産マンゴー」
パキスタンは、インド北西部に位置する国である。
最近では、核兵器保有国を宣言したり、軍事国家だったりして物騒な話の多い国だ。
イスラム教国で、ヒンズー教徒の多い、インドと袂を分かった独立国家である。
シールの文言を頭で読み返した後、柑橘や、マンゴーの原生地はインドの北西部と言われていることが頭をよぎったのだ。
「もしかしたら、すごく美味しいのでは?」
黄色の果皮に、茶色の斑点が出てしまっており、お世辞にもきれいとは言えない。
パキスタンのマンゴー |
いくら398円というお値段であっても、これはMD的には売れなそうだ。
案の定、沖縄や宮崎、メキシコのマンゴーの本当に片隅に置かれていた。
大手スーパーは、地元スーパーとの差別化のため、世界的に青果を探している。
世界のくだものを知り尽くした、凄腕の一人バイヤーが、おそらくは海外担当だ。
そんな人が、何の勝算も無く、このマンゴーを仕入れるだろうか?
一瞬にして、そんな思いがよぎり、買うことにした。
見慣れないくだものを見ると、つい買ってしまう。
職業病だろうか。
明日の朝、食べてみることにしよう。