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産地研修2018 ~岩井さん2~

―オリーブだ。

「オリーブまで植えたんですか!?」

「何をここに植えようか、考えていたときにね、少し先になってもよいから、オリーブを植えることにしてね。小豆島まで講習に受けにいったんだけど、みかんと同じ時期だと気づかされてね。本数を減らして、10本だけ植えてみたの。」

まだまだ幼木。
30年ほど時が経てば、良い実がつくだろうか。

亡くなった永田照喜治は、小豆島のオリーブに話題がなるたびに、「小豆島のオリーブはまだダメです。オリーブは300年の樹齢がないとダメなんです。」と言って憚らなかった。
だから、照喜治さんがもっとも推奨したのは、イタリアでもスペインでもギリシアでもなく、パレスチナのオリーブだった。

樹齢500年を超える木がたくさんあるからだった。

それでも、国内でオリーブの実がとれるのは良い事だと思う。
それも小豆島や浜松だけでなく、最近では、日本各地の暖地で作られるようになってきた。

30年後、どこが、また良い産地になるのか楽しみなのだ。

風除けの垣根を抜けると、眼前に広がるのはインゲン畑だった。

岩井さんの初夏のメイン作物はインゲンだ。
とはいえ、一反以上ある畑にインゲンがうっそうと植えてある。

「これは大変だ…。」

すぐにそう思った。

豆野菜は、収穫作業がもっとも厳しい。
成長が早く、最盛期には、とりきれない。

「これはつるなしの品種ですね。」
「はい、そうなんですよ。」

インゲンには”つるなし”と”つるあり”品種がある。
つるなしは、播種が楽で、栽培が容易である一方、背丈がないので、かがみこんで収穫しなくてはいけない。
かつ、収穫時期が短く、2週間~3週間ほど。

つるありは、仕立てが必要で、支柱を立てて、ネットを張らなくてはいけない。
インゲンのつるがネットをよじ登っていくわけだ。
そのため、仕立ての手間はあるものの、長期間の栽培が可能。
それでも、1ヶ月くらいの間に、豆の時期は集中する。

しかも軽い野菜なので、収穫量としては、さほど上がらない。

「さっきお持ちのもので、10kgくらい行ってますか?」

岩井さんが抱えていたコンテナの中に入っていたインゲン。

「いやいや、あれで5kgくらいですかね。パートさんたちには1時間で2kgはとってくれ、って言ってあります。」

お店で販売している単位が、おおよそ100gか150g。
1時間かけて、あの20倍くらいしか収穫できないのだから、大変だ。

「その中で、”曲がり”とかではじくので、正品にすると、さらに少なくなるんです。」

さらりと、にこやかに話す岩井さん。

「じゃあ、滝沢のほうに行きますか。」