昼食後、向かったのは、たちばなファームさん。
浜松の西端から中央に寄ったところにある。
根洗という場所にある。
赤土土壌の三方原台地に位置する。
事務所に隣接した場所に、2反ほどの面積の畑がある。
約束した時間よりも15分ほど早かったが、13名で押しかけると、さすがに聞こえるらしい。
奥の畑から、園主である岩井さんが収穫したばかりのインゲンを抱え、汗びっしょりで現れた。
「いや、少し時間があったんで、少しでもとっておこうと思って。」
黒縁のめがねで、人懐っこい顔で笑って迎えてくださった。
後で聞いたことだが、前日は東京で講習会に参加していた。
朝4時に鈍行の電車にのり、浜松に戻ってきたそうな。
そんな雰囲気を微塵も感じさせず、我々を迎えてくださり、有難かった。
みかんの畑を案内された後、ある木に立ち止まった。
バラ科の葉。
果実も桃に似ている。
事務所から出てきてくださった岩井さんのお母様に水を向けると
「ああ、これ。アーモンド。これは私の趣味でね。」
アーモンド!
桃と同じバラ科で、種の中の核というか仁の部分を食べる。
鹿児島のほうで、「これから作る」という方には会ったことがあるが、まさかこんな身近にあると思わなかった。
「まあ、でもこれは趣味でね。販売はしていなくて、周りの人がもらってくの。周りの柔らかい部分が、だんだんと腐って行ってね。種だけがめくれて出てきたら、ちょうど割れる角度があるから、こうやって割るの。」
裏から、剪定用のはさみを持ち出して、割ってくださった。
「生だから、やっぱりうまくいかないね。」
うまく割れなかったが、アーモンドが、いかに貴重なものか、思い知らされた。
「あんなにポリポリ食べてられないね!」
本当にそう思った。
収穫も、仁を取り出すのも、手作業ではちょっと考えられない。
そのまままっすぐ進むと、デコポンや大橘の木の間に、見覚えのある木がある。