新顔かと思いきや、歴史は古く、1935年にアメリカで生まれた柑橘「カラマンダリン」。
尾張系温州みかんとキングマンダリン(ただしくは、オレンジとみかん類の掛け合わせなので、キング”タンゴール”)を掛け合わせて生まれた。
単に”カラー”と言ったり、”カラオレンジ”と読むこともある。
アメリカではまったく定着せず、日本には1955年に持ち込まれた。
関東ではなじみがないかもしれないが、柑橘の産地である三重県と和歌山県の南部の農家と協力して当初、試験栽培された。
ところが、1~2月ごろに食べてみると酸味が強く、商業化は断念された。
ところがどっこい。
5月になって、そのまま放置された果実に、ヒヨドリが群がっているのを見て、食べてみると、程よく酸味が抜け、持ち前の糖度の高さも保持されて、高食味であることが確認され、再度、注目されるようになった柑橘。
他にみかん類がない時期に、手で皮がむける柑橘として注目され、最近では、少しだが、スーパーなどでも見られるようになってきた。
種が若干入るものの、ジューシーで、糖度が高く、じょうのう=うち袋が薄く、とても食べやすい。
上述した南紀(三重県南部と和歌山県南部)と、愛媛県の特に中島で栽培が多い。
品質の高さに着目し、ポンカンと掛け合わせた「南津海(なつみ)」という柑橘もあって、こちらのほうが良く見られるか。
りょくけんでは、その出会いのきっかけにもなった柑橘で、愛媛 中島の石丸さんから分けていただいている。
中島は、瀬戸内海に浮かぶ島のひとつで、斜面だらけ、山だらけの島で、柑橘栽培が盛んで、評価の高い産地。
石丸さんは、人格者で、いつもとっても優しい。
毎年、はるか→かがやき→カラマンダリンとお取引をお願いしている。
今年は不作中の不作で、はるかはほとんど取り扱えず、かがやきにいたっては、全滅だった。
斜面だらけ、山だらけの中島にあって、カラマンダリンは、平地で、少し地面を掘って下げた場所に栽培しているのが功を奏したのかもしれない。
今のところ潤沢に入荷している。
ヒヨドリに食べられないように、畑全体にネットをかけるので、地面を下げて栽培している。
その一手間があるため、他の柑橘よりもお高いが、それでも、せとかなどの高級柑橘に比べれば中庸か。
ジューシーでうち袋がやわらかく、手で皮がむける、最晩生のみかん。
ぜひみかんのフィナーレをご堪能あれ。