「これも渥美さんのなんですか?」
「うん、そうですよ。」
さらりと答えた後、そこにある柑橘の、白柳ネーブルも、グレープフルーツも、金柑「こん太」も、黄金柑も、レモンも、渥美さんのものであることに気づいた。
たしかに、普通に、すごい。
渥美さんの畑は、浜松の中部とでも言おうか、街中から離れた山中にある。
畑によっては、自家用車で分け入るのは、憚れる。
くだものの畑を選ぶときの、三条件。
1.水はけが良い
2.日当たりが良い。
3.昼夜の気温差が大きい。
この条件を満たすのは、決まって、山中。
山の斜面は、さえぎるものがなければ、日当たりも良いし、上から下に水が流れていくので排水も良い。
標高も高いから、昼夜の気温差も大きい。
歩きづらい場所も多いし、収穫量も決して多くないし、なにより収穫が大変なのだが、味は良くなる。
渥美さんは父子で農業に従事していて、古い品種も新しい品種も栽培していて、みかんから始まって、一番遅くまで出荷できるグレープフルーツが終わる6月まで、さまざまな品種があり、楽しい。
金柑「こん太」は、その中でも、最新の部類に入る品種だ。
宮崎でハウスで育てる完熟金柑が流行り、多くの柑橘の産地で、それに続いた。
静岡も例外ではない。
そんな中、突然生まれたのが、「こん太」だ。
静岡県の清水で、平成2年に発見され、平成14年に品種登録された。
完熟金柑とか「たまたま」といわれる「寧波(にんぽー)」という品種の突然変異で、めちゃくちゃ甘い。
ちょっとしたサトウキビを食べているような、、、
糖度の高いものは、おおよそ柑橘感がないくらい。
左が「こん太」。右が「寧波(にんぽー)」。 |
今、店頭で販売しているものは、露地栽培なので、少々皮が固めで小粒だが、本当に甘くて美味しい。
ちなみに、こん太は、発見者である近藤さんの幼少時のあだ名からついている。
皮につぶつぶがなく、つるんとした外観にも特徴がある。
ぜひぜひ一回は食べてほしい、くだものだ。