「今年は春キャベツはないよ」
三浦の青木さんが電話口で言い放った。
「え~~」と私。
「台風ですか!?」
「それもあるけど、おとーちゃんが、腰やっちゃって、種まきの時期に働けなくて、撒くのをあきらめた。」
「喜一さん腰やっちゃったんですか!?やばいじゃないっすか!」
「それは大丈夫、もう退院して、仕事してるから。」
青木農園の屋台骨である喜一さん。
娘さんの紀美江さんが、後を継ぎ、レストランさん向けに業態を変え、3年ほど前に法人化もした。
紀美江さんは、社長さんだ。
畑にもバリバリ出て働いているが、大物野菜は、喜一さんに頼るところがまだまだ大きい。
昨年、久しぶりにお会いしたときには、相変わらず元気で、農作業でブロッコリーの苗を植えたかと思えば、チェーンソーを出してきて、太い木を伐採する。
相変わらずのバイタリティだった。
たしかそろそろ70歳だよなあ、と思って聞けば、
「おお、今年で70だ。」と喜一さん。
「まだあと20年は働いてもらわないといけないから!」と周囲から言われて、まんざらでもない様子。
いやいや、と私めは思ってしまったが、、、
昨年末、腰の骨を折って、入院してしまったのだそうだ。
それは厳しい、、、
青木さんの春キャベツが出ないのは悲しいが、それよりも、体を大事に、養生してほしい、と思わずにいられなかった。