「校長先生まで勤めた方でね。ここらへんじゃ知らない人はいない、っていうくらいの”先生”で。息子さんご夫婦も東大出ててね。きっちり、とにかくきっちりしてて、”出す”っていうときにきちんとしてるとこなんですよ。」
愛知豊川の石野さん。
一族でキャベツを作っていて、私の大好きなあまだまキャベツを作っている。
周辺は農家が多く、毎年、不安定だった春大根=夏大根までの中間の時期の大根の生産者さんを紹介していただいた際、なにやら興味深い話を聞いた。
なるほど先生をやっていた一家で、高学歴らしい。
そして、農作業も、無駄がなく、技術が高い。
そして、大根が出てこない時期に作って、単価が高いときに取引し、安くなるころには作らない。
無論、みんなが作らない時期は、トンネルをはって土を保温したり、霜が降りないように設備投資するし、労力は惜しまない。
天候を制して、人間に都合の良い時期に作る農家、ともいえるかもしれない。
ところが、この2018年度。
「いやあ、自然にはかなわない。」
ともらしたそうな。
種を撒いたら、台風が来て流された。
流されたから、再度、種を撒いたら、また台風が来て流された。
それでも今一度撒いた。
ある程度大きくなったところに、トンネルを張って保温をすると、雨がつれてきた病気が蔓延してしまい、トンネルの中が蒸れて、カビが出て、次々と腐ってしまったらしい。
「石野さん、今期はもう大根はやめた。申し訳ない。」
そして、
「いやあ、ほんと、今年は自然の恐ろしさを改めて知った。」と話を結んだとのこと。
天候統制派の、きわめて優れた農家さんでも、今年は、本当に大変だったようだ。