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「お客様、こちらです。」

「韓国のいちご、とっても美味しいんですよ。」

平昌オリンピックでの、何気ないカーリング選手の一言に、日本のいちご業界に衝撃が走った。

関係者は、「てっきり日本のいちごを持っていっているものだと思っていた。」とのこと。

選手にとってみれば、暖かく迎えてくれた韓国へのリップサービスもあったかもしれない。
そして、実際に美味しかったのであろう。

韓国は、少し前まで、種苗法がなく、品種改良で新しく生まれた品種について、開発育成者の権利がまったく守られていなかった。

たとえば、四国の個人の農家さんが開発した「レッドパール」。
韓国の農家さんが、それこそ三顧の礼を持って、懇願してきたので、苗を譲ったが、韓国で”盗難”に遭い(故意に譲ったという話もある)、多くのいちご農家で栽培されるようになり、一時期は韓国のいちご史上の8割は、レッドパールだったとか。

現在、韓国で主流のいちご「雪香(ソルヒャン)」は、日本の品種である「レッドパール」と「章姫」の掛け合わせである。

確証はなかったが、選手たちが口にしたいちごは、もとを正せば、日本の品種だろう、とのこと。
日本の農業関係者からすれば、やはりこの事態は、看過することはできなかっただろう。

ただでさえ、その韓国のいちご「ソルヒャン」は、アジア各国に輸出され、高評価を得ている、というから、心中穏やかではないだろう。

現在、青森で行われているカーリングの日本選手権では、写真を見る限り、背景に「全農」の文字がいっぱい入ったブースでインタビューを受ける。
いちごも、全農から提供されるようになったようだ。

石原さんによると、このような状態は以前から起こっているそうである。
しかも苗を韓国に流出しているのは、他でもない、日本人である可能性が高いそうな。。。

韓国の企業や団体から依頼され、苗を持って技術指導に来てくれ、という話が実際にあるのだそうだ。

実は、石原さんも声をかけられた一人。

仲介するブローカーに、「苗には種苗法があって、持ち出せない。」と断ったが、「そんなことはばれないし、違う国に行けば、法律が違う。」と説かれたとか。

韓国や中国には、苗の著作権とも言うべき、”種苗法”が当時はなかったから、罰せられなかった。

石原さんは、かなり大金も詰まれたようだが、頑として断った。

「お金だけじゃない。」という梅子さんの言葉が浮かぶ。

ただ、こんなことはいくらでも日本国内で起こっているのだと思う。
違法に送られた日本の苗が外国に流出して、かの地で、優秀な品種ができる。

なんとも複雑な話だ。

難しい話もしつつ、苺も堪能し、子供たちも、方々で遊びまわっていた。

「お疲れでないですか?」と梅子さんに聞くと、隣でお嫁さんが「夜まで働いているからね。」という。

「昨日は、かなりはっきり言っていた。」

何のことかと思ったら、梅子さん、夜、寝言で「お客様、こちらです。」とイチゴ狩りのお客様をご案内しているのだそうな。

「いや、やっぱりね、お客さんが来ても、もう割り当てられないほど苺がなくなると、気が気でなくなるんだよね。そいういうの、あるでしょ。」と笑う梅子さん。

大いにある。

「届く、といっている荷物が届かないと、気が気でないでしょ。どこもあるよね。」

まったくそのとおり。

定期便の野菜やくだものが、期日どおりにこないと、本当にあせる。
良く分かってらっしゃる!

少し難しい話の後だったから、なんだか気が和んだ。

今年もなすを植えてくださることをお約束いただき、昨年大人気だった「おおまさり」という大粒の落花生もきっと植えてくださることだろう。

今年も夏が楽しみだ。

最後は家族総出でお見送りくださり、胸が熱くなった。
良い休日だった。