毎年、優れた品種が生まれるが、”よつぼし”いちごは特異な生まれ方だ。
多くの品種が、県内の農家を応援するため、県の試験場で開発する。
あるいは、国の機関である農研機構さんが、全国に散らばる試験場で、開発する。
我が社だけの都合を言えば、国の機関である農研機構さんが開発してくださったほうが、都道府県単位の利権が絡まなくて、率直に言って、ありがたい。
(都道府県単位で作られた品種の場合、その県内だけで栽培が可能、とか農協や経済連を通らないと、その商標が使えない、などの制限がある。県民の税金を費やしての品種改良だから、当たり前といえば、当たり前なのだが)
よつぼしは、なんと四つの県(三重県、香川県、九州、千葉県)、の試験場が、優れた品種になるのではないかと期待を寄せる親を持ち寄り、その掛け合わせを各地に持ち帰って、実際に栽培し、特徴や栽培技術を研究して、選抜した品種を発表をした。
最終的な親の名前は、三重母本1号とA8S4-147という、なんと読むのかも良く分からない品種だ。
三重大学や、野菜宅配大手のオイシックスさんも、その研究に携わったそうで、まさに官民学、三位一体になって開発したいちごだ。
ちなみに、”よつぼし”という名称は、この四つの県の協力でできたということと、甘味、酸味、風味そして美味、という意味がこめられている。
いちごは、栽培技術も必要だが、施設への投資が大きく、リスクのある農産物だ。
よつぼしは、栽培が楽で、早い時期から収穫でき、長日性も認められるので、四季なり=オールシーズンOKという。
農家の作業を省力化できる点が大きくアピールされている。
長日性とは、日が長くても、つまり太陽が出ている時間が長くても、花芽をつけ、実をならすことを言う。
多くの苺が短日性で、太陽が出ている時間が短いときに、花が咲き、実がなる。
苺農家は、日が短すぎるときには、夜通しライトアップしたり、日が長くなってきたときには遮光カーテンをして、擬似的に夜をつくったりする。
そういった作業が少なくてよいわけだ。
(ピーチベリーこと、桃薫(とうくん)という品種は、この調整が非常に難しい。)
そして食味である。
これが、なかなか美味しい。
上手に言い表せないが、独特の風味がある。
生産者の石井さんは、”メロン”というが、そこは私には良く分からない。
糖度11.9度は、苺として、決して高い糖度ではないのだが、なんだか食味が良い。 |
でも、なんだか女性が好みそうな、なんとも言えない良い酸味がある。
”酸味”というと、すっぱいの!?と聞かれてしまうが、そうではない。
いつもは、”さちのか”押しなのだが、ここにきて、”よつぼし”がまた美味しい。