「メインディッシュは、ビーフシチューだからね。」
事前にそう吹聴していたのだが、その日に限っては、違うものだった。
魚は、ほたてのムースのホワイトソースグラタン。
お肉は、鶏肉の二種類のソース仕立て。
雪の日に私が作ったホワイトソースグラタンは、市販のソースだったので、しょっぱくて、甘すぎて、旨みが強すぎて、我ながら、考えるところがあった。
だが、このホワイトソースは、紛れも無く、手作り。
今井さんが愛用する引佐の牛乳を使ったものだった。
やっぱり美味しい。
ホタテをすりつぶしてつくったテリーヌも。
細かくして、例によって、次男と三男に食べさせると「うめえ」といって自分で食べた。
「ちくわみたい。」
お願いだから大きな声で言わないでくれ・・・。
鶏肉は、トマトソースとビーフシチューに使っているデミグラスソースの二種類がかかっていて、グリルされた野菜も美味しかった。
これらは、何の抵抗も無く、美味しいとみんな食べた。
ほっとしたところ、ふと見ると、長男は、まだスープを飲んでいない、、、
「ちゃんと飲みなさい。」というと
「だってキノコがまだ入っている~」
「キノコだけ残して食べれば良いでしょ!」といって聞かせる。
周りには6組ほどのお客様がいらしたが、全組が食べ終わって、席を後にしていた。
意を決してぐいっと飲み干すと
「意外と美味しい…!」
とつぶやかれた。
おいっ
と心で思った。
デザートは、アイスとプリン、チョコレートムース、牛乳寒天。
これは喜んで食べるだろう、と思ったら、アイスとプリンを食べて、次男と三男は「もう食べられない」と口をそろえた。
「ホントに!?じゃ、僕食べる!」と長男が喜んで食べて、ようやく完食。
さすがに、食べ過ぎたようだ。
下の二人のおなかはポンポンだった。
「にぎやかで良いじゃないですか。」
聞きなれた懐かしい声が奥から聞こえてきた。