りょくけん東京

りょくけんだより
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小噺 社長日記

大雪の日。

都内が大雪で見舞われた日。
私は事務所勤務で、お迎え当番の日だった。

幸いというか、通販の出荷は多くなく、出荷チームは15時ごろ、雪が本格化する少し前に帰宅。
事務方も、おおむねその一時間後には帰路につけた。

ヤマトさんの荷受を見届けて、事務所でしかできないことを進めて、私も今日は早く帰ろう、なんて思っていたけれど、やっぱり17時55分ごろのデッドラインになって事務所を後にした。
電車も遅れていたので、結局息子たちのお迎えも遅れ遅れになってしまった。

地元でも積雪はかなりあり、風も吹いていた。

2歳と4歳の子を、ベビーカーと一緒に歩いて連れて帰り、別の場所にある学童に預けている長男をピックアップするイメージができない。

車で行くか。

意を決して駐車場にいくと、平日のため、思ったよりも積雪が多い。
車もほぼ雪に埋まっていた。
いくつかの車は、ワイパーが雪の重みで折れないようにとあがっている。

あわてて、私もワイパーを掘り出し、雪をおろし、窓だけは雪かきをした。

幸い、ほうぼうで運転したことがあるので、雪道での運転も経験がある。

だが、駐車場は思ったよりもすべる。

慎重に、ゆっくりと車を走らせた。

車どおりの多い道路は、雪も少しまばらになっていて走りやすいが、通っていない道は、凍結も始まっていて、車輪がすっと動く感触がある。
当時はABS機能※もついていなかったので、この感じが怖い。

二箇所に分かれている息子たちを何とかピックアップ。
身重の嫁がお迎え当番でなくて良かった。
とはいえ、彼女も仕事しているはずだから、それはそれでちょっと心配だが、妻が勤めているのは天下の大企業だから、そのあたりの心配は大概杞憂になる。

「大変ですよね。大森さんの場合、他の従業員の方を帰してあげることが優先になりますからね!」

学童の先生から労われた。

「・・・。」

ちょっと黙ってしまう。

「うわ~ここどこ?いつもと同じ場所に見えない~」
「うわ~雪だ!」

外に出ていなかったのであろう、ほぼ初めて見る雪と、どこからが歩道でどこからが道路か、まったくわからなくなっている景色に、息子たちが叫んでいた。

「今日は何食べたい?」
と聞くと、

「寒いから、あったかいグラタンが食べたい。」と長男。

ほぉ~。

スーパーに立ち寄って、マカロニ付きのグラタンの元を購入。
鶏肉が完売だったので、仕方なくソーセージを購入。

「いつもよりも空いてますね。」と聞くと
「さっきまですっごい人だったんです。」と店員さん。

どうやら、政府からの”不要不急の外出は控えよ”との喧伝から16時ごろに帰社させる会社が多かったようだ。
いつもよりも早いピークタイムを、どこの商業施設も迎えていたようだ。

20時過ぎに、自宅に到着。
グラタンの出来上がりは、21時だった。

長男はうとうとしながら、なんとか完食。
保育園で昼寝をしている下の二人は、初めて見る料理に抵抗しながらも、なんとか食べさせた。

風呂に入る前に、店舗に電話。

「大丈夫っすよ。ちゃんと帰れます。」と、心強い一言が返ってきた。

ちょっとほっとした。

自分が先に帰った後も、働いている人がいる。
世間の社長や店長は、この落ち着かない気持ちをどうマネジメントしているのだろう。