”紅まどんな”こと、「愛媛果試第28号」を店頭で見たお客様から、
「これは、ブラッドオレンジとみかんのかけ合わせのやつですか?」と質問された。
そういえば、そんな品種があったような・・・。
「ありますね、”ひめなんとか”という名前じゃなかったでしたっけ?」
「あ、ちょっとわからないんですけど、”ある”って聞いて…。」
閉店後、気になって調べてみた。
どうやら、エクリーク55とエクリーク65という品種名のようだ。
品種改良にはいくつかやり方があって、これは「キメラ」というやり方で生まれた品種。
日本の太田ポンカンの台木に、イタリアのブラッドオレンジ「モロ」を接木したところ、果実が違うものができた。
①根と②木と③果実と、三つが異なることから、3種類の動物が合わさった伝説上の生物になぞらえ、「キメラ」という。
普通は、台木に接木しても、違う品種が生まれることはない。
接いだ枝のほうの性質が出て、その枝の果実ができる。
たとえば、ナスの台木に、同じナス科のトマトを接ぐと、枝にはトマトができる。
なぜそんなことをするかというと、なすの丈夫な性質がトマトに引き継がれ、病気が少なくなる、などのメリットがあるからだ。
品種改良は難しい作業だが、キメラから生まれた品種は、恥ずかしながら初めて聞いた。
しかし「エクリーク55」って。。。
エクリーク55ことひめルビー |
愛媛県は、柑橘の品種改良が盛んだし、優れた品質の柑橘が生まれているが、名称が、事務的で、いささかクレームを出したくなる。
Ehime Citrus Research Institute Chimera と、開発した愛媛柑橘資源研究所の頭文字とキメラの頭文字をとってつけた造語だそうな。
そして、愛媛県もそれが、普及しない名称と知っているから、愛称を募集し、決まった名前が、「ひめルビー」。
あ。と思った。
見事なクリムゾンレッド。 |
2年ほど前に、展示会で見かけた品種だったからである。
赤い色素が濃く、その色素の平べったい味が印象に残って、風味が良くない、と感じた、あの柑橘だ。
ちゃんと、チェックしていたのだなあ、と自分を褒めたくなった。
そして、そのときに手に入れた柑橘で、もっともおいしかったのは、黄金柑と清見オレンジを掛け合わせた「媛小春(ひめこはる」という黄色の皮の柑橘である。
媛小春の断面 |
あれからしばらく経ったから、お付き合いのある農家さんで、どなたか栽培を始めているかもしれない。
また調べてみよう、と思う。