りょくけん東京

りょくけんだより
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子噺 小噺 社長日記

どこかで見た風景。

今年小学校に上がった長男の学校で、文化祭のような”お祭り”があった。
土曜日の午前中だったので、銀座店に遅番で出勤する前に見学ができる。

まだ、授業参観にも参加したことがないので、ちょっと楽しみだった。

金銭のやりとりはないものの、一年生でありながら体験型の模擬店を出店しており、秋を象徴するような、どんぐり、まつぼっくりを使った作品を、ブースに訪れた小学生や地域の方々と一緒に作り上げるのだそうだ。
小学校へ向かう道すがら、妻からおおよその話を聞いた。

一年生は3クラスあり、それぞれ3グループ程度に分かれており、松ぼっくりを使ったクリスマスツリーや、どんぐりのコマやキーホルダーを作ったり、はたまたどんぐりを使った的当てなどゲームを提供しているグループもあった。

長男のブースに向かうと、10席ほど用意され、それぞれにお客様が着席。
何やら工作を楽しんでいる。
席に囲まれたスペースに長男を含む小学校1年生二人がそれぞれお客様に対応していた。

長男には全く笑顔がなく、真剣そのもの。

さもありなん、かなりのお客様が、上級生も含めて並んでおり、かなり人気のブースのようだった。

事前に長男が工作の本を図書室から借り、選んだのは、なんというか、「ぐるぐるやじろべえ」とでも言おうか、なんとも表現しづらい手作りおもちゃだった。

ぐるぐると螺旋状にした針金を軸として、両端に重しとなるもの(=今回はどんぐりや松ぼっくり)をつけた短い針金=”やじろべえみたいなもの”をくるっと巻き付ける。

やじろべえをくるっと回してあげると、クルクルクルっときれいに螺旋状の軸を駆け下りていく。
そのさまが実に見事で、よく見ると、そこかしこに、遊んでいる小学生がいる。
その様子が呼び水になったようで、上級生の子も作りに来ているようだ。

作り方はそんなに難しくない。

1.棒(=今回は鉛筆だった)に太めの針金を巻き付けていく。
2.棒を抜いて、針金の両端を少し引っ張り、長さを調節して軸が完成。
3.そこにどんぐりを重しにした短い針金=”やじろべえ”をくるっと巻き付ける。

軸を縦にして、やじろべえを回してあげると、くるくると回り降りていく。
下に”やじろべえ”が下りきったら、軸の上下を反対にすれば、また再度旋回しながら降りていく。

30分ほどたったころには、寸法を合わせどんぐりを付け準備してあった100個分のパーツが完売。
担任の先生が、急遽シフトインし、針金を追加しパーツを作り足していた。

それでも、待ちぼうけのお客様が多数…。

少し気になって、他のクラスを見学。

「ほら、”いらっしゃいませ”って言って。」と先生方から促される生徒さんがちらほら。
行列も混雑も混乱もなかった。

どうやら、長男のブースは人気店のようだった。

少しは混雑が解消されたかと、再び長男のところに行くと、まだまだ混雑は継続中。
開店して45分を過ぎたところで、材料のどんぐりが無くなったようで、「どんぐりある!?」と先生が他のブースへ調達に行くほどの人気ぶり。

開店時間は10時15分から11時15分と決まっていたようで、10分前になったところで、「今並んでいる人で終了~」と打ち切りになった。

11時15分、最後のお客様の”ぐるぐるやじろべえ”が完成。
「終わった~ これでやっとお弁当が食べられる~」
と長男は机の上に背中をのせ、大の字になって背伸びして、にこ~と笑った。

ようやく見せた笑顔だった。

それにしても―。

人気商品を提案したものの、オペレーションが今一つで、顔をこわばらせている様子は、どこかで見たような気がして、心の中で笑った。

でも、なんだか満足だった。