街道沿いの「ゆばの里」を過ぎるとすぐ、小学校の体育館があり、右折して、少し上がったところに小学校があった。
体育館からは渡り廊下も見えて、なるほどここを通じて校舎と行き来していたのだなと思った。
ぐるっと回って小学校の校庭に入ると、いろいろな推察が違っていたことが分かった。
ー廃校だ。
日曜日ではあったが、夏休みでもないのに、人気(ひとけ)がない。
校庭も、使用された感がない。
スペー
スにはトラクターや軽トラが止まっている。
廃校施設に、事務所を構えているのだ。
校舎の入り口でうろうろしていたら、藤尾さんが出てきて迎えてくださった。
「ようこそ。」
頭にしゃれたバンダナを巻き、長い髪を後ろで束ねている。
農家さんのような農家さんでないような。
「すみません、日曜日に。」
「いえいえ。仕事もありますから。大丈夫です。」
「ここは、学校の旧校舎を利用しているわけですか?」
「はい、そうなんです。1階の部分だけ、利用させていただいています。地域交流センターとしても機能しています。」
それぞれの部屋の名前は当時のまま。 |
中は冷蔵室に。 |
校長室が、事務室。
会議室は、冷蔵庫。
ランチルームは作業場。
教室は、真っ暗にして、大豆の保管に。
黒板には、にっちょくや、きょうのもくひょう などの文字がまだ残っていた。
衛生管理が必要な味噌の仕込み場などは、仕切りを活用しつつ、給食室があてがわれていた。
なんだか…。
私の出身高校も廃校になったし、地元の小学校は最近合併があった。
なんとなく感情移入してしまう。
大豆とは面白い商材である。
未熟でとれば、枝豆に、カラカラに完熟すれば、大豆となる。
大豆は醤油、味噌、豆腐などに加工することもでき、乾燥大豆としても需要がある。
「面白い商材ですよね。」
「はい、そうなんです。ただ、昨年は足りなくて。」
「へえ~」
大豆の未熟果である枝豆が売れすぎて、乾燥大豆が絶対的に不足したそうな。
「じゃあ、畑に行きますか。」
「はい、お願いします。」
藤尾さんの軽トラに乗り込んだ。