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アルプス乙女 |
高速道路に再び乗って、1時間半くらいで、長野市の赤沼に着いた。
アップルロードと呼ばれる通りの両脇にはりんごの直売所やりんご狩りの園地がいくつも並んでいる。
そのうちの一つが、成田さんの園地である。
りんごは、フジが大横綱で、フジが始まる前は群雄割拠、有力で面白い品種がいくつもあるのだが、いったんフジが始まると、フジ以外の品種はほぼなくなってしまう。
それが、つまらない、と思った一昨年。
晩生の赤いりんごのバリエーションがもう少しあったって良いはず。
スリムレッドという品種を思い立った。
SKIPの同僚だった方が、Dean&Delucaという高級スーパーに勤めて青果を担当していた。
その彼が当時見つけてきた品種がスリムレッドだった。
皮が薄く、小玉で円筒形。
丸かじりに向く品種だ、と紹介してくれた。
フジ全盛の時期になっても、日持ちがする赤いりんご。
そうだ、そのりんごを探そう、と思って、彼に聞くと「あ~ 覚えてないです。」とのこと…。
気を取り直して自力で探していくと、長野市の農協の青年部で「スリムレッド普及委員会」というものが存在した。
座長の名前に、成田さんがあった。
もう少し調べると、電話番号も発見。
それが、成田さんとのファーストコンタクト。
スリムレッドは、小玉のため、生産拡大はしておらず、大量にはなかった。
一方で、オリジナル品種があるという。
今度はそれを譲っていただくことにした。
赤いりんごで、「プレミアムスイート」と名付けているという。
食感が良く、甘さも酸味も適度にあり、熟成した風味があって、桃やパインのような味もある、不思議なりんごだった。
何よりも驚いたのは、日持ち。
10月末に収穫するりんごが、ワックスを大量に分泌してべたべたになるのだが、なんと6月に入っても食感を保ったままだった。
昨年も夏と秋に尋ねて、いろいろ伺っていたが、お願いしたいこともあって、足を運んだ。
成田さんも、例にもれず、りんご狩りの観光農園を営んでおり、お母様とおばさまが店を手伝い、畑はほとんど成田さん一人で管理しているという。
お父様は、現在、ご病気で、畑に立つことができない。
成田さんの畑の特徴は、とにかく、品種が多いこと。
おそらく、30品種くらい作っている。
夏あかり、シナノリップ(今年初生り)、つがる、シナノプッチ、シナノスイート、シナノピッコロ、トキ、シナノゴールド、シナノドルチェ、秋映、あまみつき、名月、王林、アルプス乙女、紅玉、フジetc.
「もう、一度、聞いたんですが、高徳は作らないんですか?」
「試験場にいるときに、ありとあらゆる品種を作って食べていたんですけど、、、」
高徳は、最近、上手にネット販売されている「こみつ」というりんごのことだ。
品種名は高徳と言い、きちんと作りこむと、果肉に蜜が8割くらいさす。
お店でけっこう頻繁に聞かれるので、調べてみて、私も昨年購入し食べてみました。
「確かに、蜜も入って、美味しいりんごなんですが、日持ちが、りんごとしては悪すぎて…。」
そうなのだ。
香りや独特の風味、糖度も高く、小玉だが、蜜入りがとにかくすごいのだが、冷蔵保管していても、3~4日で、食感がぼそぼそしてしまった。
それでも、木が一本あると面白いのかな、と思った。
りんごの木は3年目から本格的に稼働する。
誰かに頼んでみよう。
そして本題。
「実は今回はお願いもありまして。」