原木なめこ。おおぶりで、プリプリ感が強い。 |
「このなめこは、生でも食べられやつ?」
銀座店の店頭で、お客様から、そう聞かれた。
「?」
一般的に、きのこは、加熱してから食べる。
唯一、生食でもOKと言われるのが、マッシュルーム。
「いや、生ではお召し上がりにならないほうが…。加熱はしたほうがよろしいかと思います…。」
だが、
「なめこは生でも食べられますか?」という質問ではなく
「このなめこは、生でもたべられるやつ?」という質問である。
世の中には、生で食べられるなめこがあるのかもしれない。
そして、このなめこは、原木なめこ。
人工的な、菌床で栽培されたものではない。
原木で栽培したものは、生でも食べられるのかもしれない。
お客様は、何かしらご存じで、その質問をしたのだと思った。
「そういうなめこがあるんですか?すぐ調べてみますが…?」というと
「あ、いいのいいの、ちょっと知りたかっただけだから。」
お客様は、すぐにその場を立ち去ってしまった。
さてさて。
気になって調べてみた。
https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q114104766
一番最初に出てきたのが上述の質問サイト。
落葉広葉樹(欅や桜)などを原木として使っているナメコのとれたて生の味は絶品です。取れたてでなければやめた方がよいと思います。今流通しているナメコのほとんどは、おがくずや古紙を使った人工栽培のものが多いはずですので、スーパーで買ってくるものは加熱して食べるのが無難です。
なんと、新鮮で、広葉樹の原木のなめこであれば食べられる、と書いてあるではないか!
齋藤さんところの原木なめこ |
早速、生産者の齋藤さんに質問。
が、速攻で否定された。
「うちのは、桜の木やブナで、広葉樹が原木ですが、絶対に、加熱して食べてください!」
そして以下のサイトのURLが送られてきた。
http://www.saturn.dti.ne.jp/~sasai/2010.5_.pdf
大手のなめこ屋さんや、地元の保健所からも上記のような通達が出ている。
◎毎年のように生のなめこ、加熱不十分のなめこが原因で食中毒が発生しているようだ。
そして、前述の質問サイトの回答にも触れており
インターネットの回答者が生で食べられるような記述がありますが、生のなめこは食中毒を招くことを情報提供していく
と掲載されている。
そうはいっても。
その通達を読み込むと、なめこの食中毒のメカニズムや原因となるものははっきりとはわかっていない。
なめこが原因とみられる=ほかに食中毒の原因と考えられるものが無い、という表現もある。
そして、なめこが原因の食中毒は重症にはならず、軽微な下痢で済む、とのこと。
まるで、自分で試してみたら?みたいな文章。
―と読み取るのは、私だけであろう。
私なりに結論付けると、山中に住み、山でとれたきのこを採取し、常時食べているような”きのこ名人”や”きのこ仙人”みたいな方は、きっと生で食べても大丈夫なのだろう。
私のようにお腹が弱い人間は、十中八九ダメだろう。
事なかれ主義ではないが、
◎なめこは、新鮮なうちに流水で軽く洗い、沸騰したお湯で一分以上加熱してから食べた方が、安心である。
そして、原木なめこは、加熱したとしても、そのぷりぷり感や食味が、菌床のものとは比較にならないほど、美味しいということを付け加えておく。