私たちが店頭で見かける野菜やくだものは、全部ではなく、様々に選別されて出荷される。
いわゆるA品とB品、あるいは正品と規格外品というやつだ。
今日は、山梨の石原さんから面白い形のだから、となすが送られてきた。
なすは、気温などの諸条件で、ヘタの直下からにょきっともうひとつなすが出てくることがある。
天狗の鼻のようで、とても面白い形になる。
固定種、在来種といった、古い品種にはその傾向が顕著なものもある。
石原さんのなすは、「千両」という大ヒット品種のF1種なので、面白い形になるのは少ないのだが、ここのところの不安定な気象で、結構な量の面白なすが収穫できたようである。
「お店に飾って、しばらくしたら召し上がってください。」と一言添えられて送られてきた。
そこで気になるのがお味。
早速三枚にカットして、いつものように焼いてみた。
ばかうまっ。
皮もやわらかく、甘く、果肉がとろける。
季節柄、「秋なす」と呼ばれるこの時期。
「秋なすは嫁に食わすな。」ということわざがあるほど、この時期のなすは美味しいという。
しかしながら、農家や私ども業界の人間からすると、終了に向かっていくなすで、寒さに当たってだんだんと皮も固くなり、全盛期のような品質ではない、という認識だ。
やっぱり美味しいのは夜温が高くなり、昼も夜も生長してやわらかい皮に育ったなすが美味しい。
石原さんもそうおっしゃっていたっけ。
が、それでもなお、まだまだ石原さんのなすは美味しい。