余市と赤井川村の間というか、隣接して仁木(にき)という場所がある。
余市と並んで北海道のくだものどころとして知られる。
りょくけんのトマト農家も多い。
以前、渋谷ヒカリエに店舗を構えていた最、りょくけんのお菓子部門である「ゆりい菓」という店舗も出店しいた。
その際、ブルーベリーや木いちごなど様々なベリー類をお世話になっていたのが、仁木町のベリーベリーファーム上田さんである。
ベリーベリーは英語で書くと”very berry”。
直訳すれば、”とても苺”とでも言おうか。
もともと、関東でステーキやハンバーグのレストランで財を成した上田さんが、立ち上げた、有機栽培を標榜する農園で、ジュース工場の他、ジャム工場、観光農園も営む。
関東でのノウハウを生かしてオープンしたのが、ベリーベリーファームレストラン余市。
息子たちに、おとなしく食事をさせるのに苦労していたので、ハンバーグなら食べるだろう、とお昼に寄ってみた。
千葉で言えば「ビッグボーイ」、神奈川で言えば「ハングリータイガー」、静岡で言えば「さわやか」のスタイルだ。
駐車場を広く、以前は野菜くだものの直売所だったであろう建物を改装して作ったように見える。
建物の近くに行くと、あの、肉を焼いた香ばしい香りが立ち込める。
日曜日のお昼時と会って、家族連れで込み合っていた。
床板の下が多少空洞なのだろう、やたらに足音が響く。
「お母様へ 先日、店内で走り回っていたお子様が転倒し、お怪我をされました。ほかのお客様にもご迷惑をおかけいたしますので、くれぐれも走り回らないようにお願いします。」
そんな張り紙がそこかしこに貼られている。
余程の事故があったのだろう…。
思い当たることもたくさんある…。
でも「お母様へ」って…。
30分ほど待って席に案内された。
サラダバーを楽しむ。
レタスやきゅうりも美味しかったが、自社農場産のミニトマト「アイコ」が抜きんでて美味しかった。
長卵形のミニトマト。
かなり甘い。
ドリンクバーも+200円でつけられる。
おなじみの、コーラ、ファンタ、カルピスなどが選べる。
ふっと横を見たら、ミニトマトジュース、ぶどうジュース、りんごジュースのピッチャーもあり、これらも飲み放題だという。
「お!?」と思った。
自社製品のストレート果汁100%のジュースで、私が知る限り、180mlは350円、1L は1500円程度で販売されている高級、高品質なジュースだ。
それが飲み放題とは!!!!
ぶどうジュースは、今朝、ホテルで飲んだものと同じでは…?なんて思いつつ、舌鼓を打った。
りんごもぶどうも美味しく、ミニトマトジュースは、きわめて甘く、焦げ臭さもない、とても良い品質のものだった。
最初は大好きなカルピスを飲んでいた息子たちも、リンゴジュースとぶどうジュースにシフト。
それぞれが入ったコップを並べて、とても満足そうだった。
注文してから40分ほどして料理が来た。
「男親一人で息子さん三人…。大変ね。」
「偉いわね、息子さん三人…。」
食べている間、そんな声が聞こえてくる。
中には「ご苦労様です!」と面と向かって挨拶してくださる方も…。
すでに認識はしているが、男親一人で、息子三人を連れて歩くのは、目立つようである。
張り紙もあったので、いつもよりも厳しく言って、割と普通に座って食べていたが、店員さんに少し注意もされてしまった。
「お客様、お子様が走り回らないように、お願いします。」
いつもよりもずっとおとなしく食べているのだが…。
プルルルル。
携帯が震えた。
14時を回り、中野さんとの約束の時間になってしまっていた。
「すみません、ちょっとお昼に手間取ってしまって…。」
「15時くらいまでには来てください。僕にも予定があるので。」
おっしゃる通り。
慌てて食べさせて、出発の用意をした。
私の慌てっぷりを察したのか長男(7歳)が三男(2歳、※注 二足歩行可能)を抱きかかえたところ、転んで三男を落っことしてしまった。
ゴツン!
三男が後頭部をぶつけると、大きな音が店中に響いた。
店中の、視線という視線が一斉にこちらに注がれた。
老若男女、すべての視線。
私は、あの光景を一生忘れないと思う…。
なお、三男はほどなく泣き止み、大事には至らなかった。
ただ、音が派手だった。
おっきな西洋梨だ!と写真撮影…。ウリの一種、かんぴょうだと思われる。 |
そのレストランから車で10分ほどのところに、中野ファームはある。
安芸さんの通りを過ぎて少し山のほうに向かい、目印であるトンネルの手前でぐっと左折する。
登っていく途中に、これまで見たことのない白い建物があった。
疑問符はついたが、そのまま進み、中野家のお屋敷と選果場の前に着いた。
一台の車が止まっており、中から、勝さんが降りてきた。
現(株)中野ファーム社長、中野勝さんである。