現在もファーストリテイリングのトップにある柳井さんは、食品ビジネスへの参入を目指しており、衣食住を次の成長戦略に掲げていた。
「衣」の次は、「食」である、と。
食品、とくに青果物にユニクロのビジネスモデルを取り入れ、具体的にはアメリカや中国で小麦や米を日本の技術で作り、日本国内で、安価に販売しようという考えだった。
ところが、発表で驚いた。
野菜くだものを、国内で作る。
しかも永田農法で。
と発表されたからだ。
続いて、その経緯や水面下で進んでいた事業のあらましが、プロモーションビデオで紹介された。
ユニクロの社員が、浜松を訪れ、照喜治さんの研究所と畑を訪ねる。
「ブロッコリーは、一般のブロッコリーの倍のビタミンCがあります。」
「しかも脇からいくらでも芽吹いて収穫できます。」
「これが私が指導する方法で育てたトマトです。切ってみます。1,2,3、…10個くらいの部屋に分かれていますね。これが美味しい理由です。ゼリーの部分が緑になるともって良いんですが…。」
場所は移り、宮崎のトマト栽培の現場にも。
「これが、永田農法のトマトを量産するカギになるという。」
ナレーターはテレビのカンブリア宮殿やソロモン流で聞いたような声だった。
10Lくらいのビニール袋に土を入れて、根域制限をして、水分肥料をコントロールする栽培方法、と紹介され、当時の私はいたく感銘を受けたものである。
そうしてそのプロモーションビデオの最後を締めくくった照喜治さんの言葉が、これまたしびれた。