長崎の、高島という島から、木下さんがお店を訪ねてくれた。
高島は、有明海に浮かぶ小さな島で、世界遺産になった軍艦島の手前にある島だ。
石炭をたくさん掘っていた時代には、軍艦島は人口過密度が日本一だったそうで、現地に住めない人たちが、ベッドタウンとして高島にも多く住んだという。
が、時代も過ぎて、炭鉱は廃れ、現在はほぼ何もない島になってしまった。
それをなんとかしようと、トマト栽培が始まり、りょくけんも立ち上げと指導に携わった。
だが、挫折。
炭鉱で働く人手の住居跡に建てられたトマトハウスでは、なかなかむつかしかった。
りょくけんも離れた。
事業を引き継いだ海運会社が、見事なかじ取りで、品質を上げ、単年黒字も今期で3年目を迎えたという。
弊社でも5年ほど前から取引を再開。
その品質の高さと、選果レベルの高さに驚いた。
その事業の責任者が木下さんだ。
島では、営業以外に畑にも立つし、選果にも立ち会う。
前任の藏地さんも木下さんも、毎年欠かさず、私を訪ねてくださる。
「似合うじゃないですか!」
開口一番、私のりょくけんユニフォーム姿に触れてくださった。
4月から、その時期の旬の日本手ぬぐいをそろえるように努力している。
今は、桃だ。
桃色の柄は、いささか恥ずかしいが、褒められるとまんざらでもない。
毎年、決まって、取扱量や成績をフィードバックしてくれ、競争心をあおってくれる。
そして感謝される。
最近は、何か必ず新しいニュースも持ってきてくださる。
2年前はトマトドレッシング。
一昨年はメロン。
昨年はミディトマトだった。
今年は、ありきたりなのかもしれないが、トマトジュースをお持ちくださった。
ファーストトマトのトマトジュース。
興味あり、である。
「なんだか声かけるのが悪いですね。」
最近、お店は忙しい。
本当にうれしくありがたいことである。
絶えないお客様と、いっぱいいっぱいの私に気を使って、店頭で手短に話して、木下さんは、長崎に帰っていった。
気にして訪問してくださるのは本当にありがたいことである。
木下さんたちのつくるファーストトマトは、また来年!