私が、一番おすすめのジュースはどれか聞かれた場合、なんと答えるか。
どのジュースも思い入れがあり、すべておすすめなのだが…。
あえて言おう(!?)。
もっとも驚くのは、ナイアガラぶどうジュースである、と。
ナイアガラ自体、青果ではあまりもう見られない白ブドウになった。
おそらくは、産地に近い、長野県や北海道余市の直売所以外では、販売されないのではないか。
新しく世に出た”シャインマスカット”という白ブドウが大流行しているので、他の白ブドウは、マスカット オブ アレキサンドリアなどギフト需要が見込めるぶどう以外は、もうお店で見ることはないかもしれない。
ナイアガラは、中粒のぶどうで、甘さはさほど強くない。
単価もそれほど高くない。
特筆すべきは、その芳香である。
りょくけんは昔から香りのあるくだものが好きである。
フジよりあかねりんごを推してきたし、台農17号よりも台農14号=芳香パイン、オレンジだったら福原オレンジを推してきた。
りょくけんの基本的な考え方である「原生地の環境を再現する」ということを忠実に行うと、食味もだが、特に香りが強くなるのだ。
ナイアガラぶどうも、その一つ。
もともと芳香剤に例えられるほど強く芳醇な香りを持つ白ブドウだ。
これを、北の大地、北海道でハウス栽培して黄色くなるまで完熟させたものは、文字通りむせ返るほどの香りを持つ。
さて、ここで質問。
いくら果実に香りがあっても、ジュースにしたら、その香りは飛ぶのではないか?
答えは△である。
一般的に販売されている100%ジュースの原料表示を見てほしい。
必ず、”香料”と書かれているはずだ。
(香料が加わって果たして100%ジュースと言ってよいのか?という疑念も浮かぶが、ここでは省略する※)
これは原価を圧縮するために生まれた濃縮還元という技術のためだ。
現地で絞られた果汁を300倍に濃縮し、消費地で、水を加えて元に戻す。
農産物を販売して利益を得るのは容易ではなく、特に輸送にかかるコストがかなりのウェイトを占める。
濃縮して体積を圧縮すれば、輸送コストを減らすことができるのである。
ただ、戻した際に、味は戻るのだが、この過程で必ず香りが飛んでしまう。
これを補うために、香料を添加する。
例えば、加熱しない搾りたてのジュースだったり、加熱しても”ストレート果汁”といって濃縮還元しないジュースには香りが残る。
想像に難くないが、加熱殺菌の時間が長ければ、香りも落ちてしまう。
りょくけんのジュースは、すべてがストレート、無添加。
だから本当に原料の特徴がそのまま出る。
作り手は、カベルネと同じく、安芸さん。
熟度のマイスターと言われる。
ひとたびジュースを開栓すれば、むせ返るほどの芳醇な香りを放つ。
味も、そこら辺のマスカットジュースとは一線を画す。
でもなんと例えたらよいのかわからない独特のお味。
糖度を測ると16度を優に超える。
さらっとして透明なのだが、どことなく粘性があって、アルコールも少し含まれるのではないかと錯覚する。
そして今回もう一つ価値を加える、というか可視化することにした。