りょくけん東京

りょくけんだより
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小噺 社長日記

あるお迎え当番の日4

空になったお皿を洗い場に運んでいるうちに、長男はソファーで寝始めてしまった。

起きている次男と三男に

「お風呂入るぞ~」

と告げ、長男を抱え風呂場に連れていく。
重い。
でかい。

起きている二人を順番に洗って、葉を磨き、着替えさせて。

居間に送り出す。
眠ったままの長男を抱えて、無理やり口の中に歯ブラシを入れて、磨く。
非常に嫌がるが、続けさせていただく。
体を洗い、風呂桶に入って、一緒に出る。

居間からは、仮面ライダーベルトの効果音が、けたたましく鳴っている。

「うるさい。」と父が息子たちに注意する声が聞こえる。

そう、あれはうるさい…。

風呂場を出て、寝たままの長男を布団につかせた。

「ごめんね、先にいただきました~」と言って、タオルを父に渡した。

「お。おお。」とテレビを見ていた父も風呂に入る。

少し遊んだ後、床に就くことにした。
「じゃ、ねんねしようか。じいじに”おやすみなさい”を言いに行こう。」

右手に次男、左手に三男を従えて、風呂場に行くと、ちょうど父は上がったところだった。

「はい、じゃあ、おやすみなさい、して。」

「おやすみなさい~」と次男、三男。

「明日は早いんだよね?」
「そう、7時10分の電車に乗るから。寝てるかな?」
「みんな、6時半には起きるから、起きてるんじゃないかな。」
「はいよ。じゃあまあ。お休み。」
「おやすみなさい。」

私が不甲斐ないからもあるが、父は65歳を過ぎても現役の教師として働いている。
実家よりも私の家のほうが近いので、時々、泊まりに来る。
当日、授業があったのだが、全校生徒が甲子園予選の応援のため、急遽、授業がなくなってしまったそうな。

我が家の息子たちは、寝つきが良い。
真っ暗にして、少し会話を交わした後、すぐに寝息が聞こえてきた。

一人むくっと起きて、やり残した仕事に取り掛かる。
まだ22時半。

通販のカタログ寄稿の締め切りが迫っていた。

しばらくノートPCに向かってカチカチやっていると、ドアがあいた。

「おお!びっくりした~。早いじゃん。」

妻が帰ってきた。

「そう、頑張って早く帰ってきた。」

23時30分を過ぎたくらいだった。

妻が務めるテーマパークの閉演時間は22時。
そこからクローズ作業を行うから、家に着くのは、優に24時を回る。
一日が終わる前に帰ってくるのは、遅番の時は極めて珍しい。

「お父さん来た? 子供たちは良い子だった?」

矢継ぎ早に質問してきた妻に対して、私は、仕事モードに入っていたので、

「うんうん。」と頷くだけ頷いた(申し訳ない…)。

「おなかすいたー」と無邪気に言う妻。

「鮭焼いてあるよ。」
「うん。鮭も良いけど、このキノコのやついただくよ。」

「!?」

数日前に、いただいたりょくけん松屋銀座店のお惣菜ではないか。
大丈夫か?
まあ、妻なら大丈夫か。
私はお腹があまり強くないが、彼女は強い。

と目の前のノートPCの画面に集中。

ーーーーーーーーーーーー

「終わった。寝るっ おやすみなさい。」

「あ、もう寝るの?」

「おやすみなさい」と床に就く。
暗がりの中、寝相の悪い息子3人の居場所を確認しながら。

妻は、まだここから長い。

”アフターファイブ”というのは、何時に終業しても、存在するようだ。
23時半が終業であっても、だ。
妻にしてみれば、貴重なプライベートタイムでもある。
日曜日、祝日は、学童も保育園もお休みになるので、私が仕事の時は、妻が一人で息子3人を見ている。

子育てを楽しんでいるが、やっぱり大変は大変。
彼女の息抜きタイムを邪魔してはならない。

と、言い訳して、私は率先して寝ることにしている。

鮭も、メロンも、縞インゲンも、きゅうりも。
今日も我が社の野菜たちは美味しかったなあ~。

あ。

―じゃがいも食べるの忘れた!